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【川俣・山木屋と飯舘】 森林除染に課題 避難区域設定から3年

住宅地周辺を除染する作業員=21日、飯舘村

 東京電力福島第一原発から半径20キロ圏外にある川俣町山木屋地区や飯舘村などの避難区域(計画的避難区域)が設定され、22日で3年が経過する。避難区域は既に帰還困難や居住制限、避難指示解除準備の3区域に再編されている。両町村とも5月から除染を本格化させる。
 「村民が不安にならないよう万全の態勢で臨んでほしい」。飯舘村除染推進課の中川喜昭課長(55)は21日、村役場本庁舎で開かれた除染監視業務の会議で部下に訴えた。

■スピードアップ
 除染は住民の帰還や事業再開の前提となる。除染廃棄物を保管する仮置き場確保や除染作業に入るための住民同意の取得に、ようやく見通しが立った。除染は国直轄で行われ、作業員約4千人が従事する。
 帰還困難区域を除き、平成28年12月までの終了を目指している。環境省は事業を計画通りに進めるため、ゴールデンウイークも日曜日を除いた休日を返上して除染する。「工期を守るため、手抜き作業が行われる可能性がある」。村職員は同省職員と共に現場を巡回する。
 川俣町山木屋地区でも除染を本格化させる準備が整った。5月から除染作業員約3千人が投入される。

■事業所を支援
 「避難区域で事業を再開しても従業員の確保が難しい」。飯舘村から福島市松川町に避難した村商工会石材部会の高橋吉光部会長(56)=高橋石材工業社長=は指摘する。
 村に約230ある事業所のうち、これまで30事業所が再開した。石材関係は5業者が操業を開始したが、高橋部会長は仕事場を避難先に移しており、村での事業再開は見送っている。3人いた従業員は避難に伴い1人に減ったからだ。
 村は平成26年度から、土木作業や除染作業で使用する機械や器具の資格・免許取得費用の半額を補助する。従業員確保や就労支援が目的だが、避難先から村に遠距離通勤しなければならないため、制度を活用して事業再開に踏み切る事業主が増えるかは未知数だ。
 一方、原発事故前まで約60事業所あった川俣町山木屋地区で再開した事業所はない。これまで除染が進まなかった点や山木屋地区に隣接する浪江町側が立ち入り禁止の帰還困難区域となり、一般住民の交通量が大幅に減少したことが要因とみられる。除染が前進すれば、事業所再開に弾みがつくとみられる。

■再汚染を不安視
 川俣町山木屋地区と飯舘村の今後の課題は、森林除染だ。環境省は森林除染について方針を明らかにしていない。山間部にある両地域の住民は、山の放射性物質が生活空間に移行する再汚染を不安視している。
 川俣町の古川道郎町長(69)は「住民が立ち入る里山は除染すべき。生活に密着した森林を再生しなければ、山木屋の復興は難しい」と強調。国に森林除染の実施を要望する。
 飯舘村は木質バイオマス発電を利用した森林除染を提案している。荒れた山の除染と整備が進み、住民を雇用できるメリットがある。しかし燃焼で放射性物質濃度は凝縮され、灰が高濃度になる。住民の同意を得るためには万全な安全対策が不可欠となっている。

【背景】
 東京電力福島第一原発事故を受け、政府は平成23年4月22日、第一原発から半径20キロの外側で、年間の積算放射線量が20ミリシーベルトに達する恐れのある地域を計画的避難区域に設定した。計画的避難区域となったのは南相馬市の一部と川俣町山木屋地区、浪江町の一部、葛尾村のほぼ全域、飯舘村全域で、5市町村にまたがった。計画的避難区域の区域再編は平成24年4月16日に南相馬市をトップに始まり、昨年8月8日の川俣町山木屋地区で終了した。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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