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支援策さらに充実を 県の避難者意向調査 心身の悩み深刻化

避難者からの電話相談に応じる専門員=福島市・ふくしま心のケアセンター

 県が28日に発表した県内外への避難者アンケートで心身の不調を訴える人のいる世帯が7割近くに上ることが明らかになり、市町村や支援団体などからは、あらためて国や県に避難者を守る支援策の充実を訴える声が上がった。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から3年が過ぎ、ストレスを抱える避難者は心のケアなどを強く求めている。
 「時間がたつにつれ、避難者を中心にした被災者からの相談は個別化、多様化、複雑化、深刻化している」。ふくしま心のケアセンターの内山清一業務担当副所長(65)は、被災者が置かれた現状をこう分析し、県のアンケート結果を冷静に受け止めた。
 センターは、被災者からの相談に応じるため県精神保健福祉協会が県の委託事業で平成24年に開設した。福島市に基幹センター、県内6カ所に方部センター、埼玉県加須市に駐在所を構える。看護師、臨床心理士、社会福祉士ら専門員約60人が被災者の電話相談や仮設住宅、借り上げ住宅を訪問して悩みを聞いている。
 開設初年度の平成24年度、9800件近い相談が寄せられた。25年度は集計中だが、震災直後に比べて賠償、生活再建など、より深刻な悩みが増えている。「一緒だった家族が離れ離れになり意思疎通がうまくいかない。精神的につらい」といった声もしばしば寄せられる。避難生活の長期化の影響が大きく、「死にたい」といった相談もあるという。
 今年度、重点事項に挙げたのはアルコール依存症への対応だ。阪神淡路大震災の後、依存症になった被災者が増加したとの検証結果を踏まえた。内山副所長は「一人一人が違った環境下に置かれている。きめ細かく対応したい」と話す。
 福島医大は昨年、医学部に「災害こころの医学講座」を新設した。前田正治教授(54)は調査結果を踏まえ、避難先・避難元の市町村間の連携や国、県の支援強化を訴える。精神的不安からうつ病を発症する可能性のある避難者の早期発見・早期支援の重要性を説く。また、調査に回答しなかった約65%の世帯にも着目。「未回答世帯への対応が急務だ。調査結果を基に、国、県、市町村が連携し、早期支援につなげるべき」と強調した。
 全村避難を続けている飯舘村は、保健師や栄養士らが各地の仮設住宅や借り上げ住宅を訪問し、避難者の相談に応じている。村の担当者は「個別のケースに応じた活動を地道に続ける」と継続性を重視している。

■仮設住民不眠や食欲減退も
 大熊町から避難し、会津若松市の東部公園仮設住宅で暮らしている主婦斉藤久美子さん(45)は、小学5年の子どもが避難生活によるストレスで眠れなくなり、食欲も減退したと話す。「国や県は、子どもを含めた避難者の心のサポートをしっかりと実施してほしい」と訴えた。
 「仕事に没頭しているから気が紛れているが、突然、涙が出る」。いわき市の南台仮設住宅に避難している双葉町の自営業松本正道さん(50)は、長期避難による精神面への影響を気にする。「孤立を招かないためにも、コミュニティーを維持するための対策がこれまで以上に大切になる」と国や自治体に注文した。

カテゴリー:福島第一原発事故

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