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「家族が心身不調」7割 県が初の避難者意向調査 長期化が大きな負担に

 県は28日、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で県内外に避難する県民(自主避難者を含む)を対象とした初の意向調査の結果を発表した。避難後に心身の不調を訴える人がいる世帯は67・5%で約7割を占めた。「何事も楽しくない」「よく眠れない」「疲れやすくなった」との回答が目立った。県内で震災(原発事故)関連死が深刻さを増す中、避難の長期化が避難者の心身に大きな負担となっていることを裏付ける結果となった。
 調査は今年1月22日から2月6日に実施し、2万680世帯から回答があった。同居家族の健康状況と健康不調の内容に関する調査の結果は【グラフ】の通り。
 心身の不調を訴える家族がいるのは、避難区域内から避難する世帯が70・2%で、区域外の54・9%を15・3ポイント上回った。原発事故で政府指示によって避難を強いられた世帯ほど多い傾向にある。
 不調の内容については、複数回答で、「何事も楽しくない」「よく眠れない」がともに半数を、「イライラする」「憂うつで気分が沈みがち」「疲れやすくなった」「孤独を感じる」が40%を超えた。34・8%が「持病が悪化した」と回答し、「飲酒・喫煙の量が増えた」も22・6%の人が訴えた。
 県避難者支援課は「長期化する避難生活の疲労や、将来の先行きが見えないことによる精神面の不安定さが健康不調の背景にあるのではないか。家族の分散も心労の要因になっている」とみている。
   ◇  ◇
 避難生活の不安や困り事についても聞いた。複数回答で最多は「住まい」が63・4%を占めた。「体の健康」63・2%、「心の健康」47・8%が続き、心身の健康を心配する避難者が多いことが分かった。
 避難区域の内外別に見ると、区域内からの避難のトップは「体の健康」で64・7%だった。区域外は「生活資金」の61・7%が最も多かった。
 県は同日開いた新生ふくしま復興推進本部会議で、調査結果を公表し、対策として避難者の見守り体制の充実、相談員の育成などに努め、避難者の不安を解消する方針を示した。
 具体的には、県は東京都をはじめとした県外で、地元の社会福祉協議会やNPO法人などと連携した戸別訪問を新たに計画。避難者の健康管理や孤立化対策を強化する。県外の避難者交流会への職員派遣を拡充することで個別の生活状況を把握し、必要な支援に当たる。

■関連死防止へ心のケアを 郡山メンタルサポート・成井臨床心理士
 元県臨床心理士会東日本大震災対策プロジェクト代表で、被災者の心のケアに取り組んでいる郡山メンタルサポートの代表カウンセラーの成井香苗臨床心理士は、避難世帯の約7割で同居家族が心身の不調を訴えている現状について「避難者の深刻な状況が裏付けられた」と受け止めた。
 短期間に何の覚悟もないまま大きく生活環境が変化したため、心身の不調につながっていると分析。震災発生後3年が経過しても人間が本来持つ適応力や回復力がみられないとし、「ストレスなどの精神的な要因が大きく、健康悪化が懸念される」と指摘した。
 その上で、精神の安定に大きな効果があるとされる住環境の早期整備や、震災前に培った自身の能力が十分発揮できる適切な就業環境の確保、震災関連死を防ぐため被災者の心のケア体制の拡充などの必要性を訴えた。

カテゴリー:福島第一原発事故

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