東日本大震災

「福島第一原発事故」アーカイブ

  • Check

凍土壁来月着工 第一原発 規制委東電の安全性説明了承

 原子力規制委員会は26日、国や東京電力が福島第一原発の汚染水の抜本的対策として計画している凍土遮水壁について、6月の本格施工を認めた。規制委は同日の特定原子力施設監視・評価検討会で、最大の懸念材料だった設置に伴う地盤沈下について、沈下量はわずかで安全性に問題はないとする東電側の説明を了承した。経済産業省と東電は計画通り6月にも着工する方針。

■トラブル、災害時の備え課題
 東電は凍土壁を建設した場合の建屋の地盤沈下は最大16ミリと安全性に影響がないと説明。建屋が傾くような最大傾斜も規制委が定めた目安の数分の一にとどまるとした。
 会合に出席した土木工学の専門家からは「非常に合理的」「基本的に同意できる」など肯定的な意見が相次ぎ、大きな異論は出なかった。規制委の更田(ふけた)豊志委員は「一部工事に着手する考えがあるのであれば妨げるものではない」と総括し、大筋で着工を認めた。
 規制委の判断を受け、会合に出席した経産省資源エネルギー庁原発事故収束対応室の新川達也室長は「着工に向けて調整を進めている。6月に工事に入りたいと考えている」と述べた。東電の姉川尚史常務執行役は「着工について前向きに進めたい」と語った。今年度中の凍結開始を予定している。
 一方、凍土壁をめぐっては、完成後に建屋内の汚染水水位が地下水水位を上回ると高濃度の汚染水が建屋外に流出する懸念がある。建屋内の汚染水水位の正確な測定方法、トラブル時や自然災害への備えなどの課題が指摘されている。
 更田委員は会合で、「(予定通りの着工を認めたことは)現場の士気などの要素を考えた」と述べ、凍土壁の安全性や効果に関する検討が十分とは言えないことを示唆した。さらに、「(凍土壁の)計画全体の認可には時間が必要だ。多くの論点について確認を進める」とし、今後も議論を続ける考えを示した。
 凍土壁は1~4号機の周囲約1.5キロに、凍結管を1メートル間隔で地下約30メートルまで打ち込み、地中の水分を凍らせて、汚染水増加の要因となる地下水の建屋への流入を止める。規制委のこれまでの会合で、地盤沈下などの懸念が出され、着工遅れの可能性があった。
   ◇  ◇
 検討会では、本県関係の出席者が、汚染水対策を進める上で県民の視点を忘れないよう求めた。外部専門家の角山茂章県原子力対策監(会津大教育研究特別顧問)は「県民の視点から言うと(議論が遅く)もっと時間を大切にすべきだ。住民の安心につながる議論を尽くす必要がある」と指摘。高坂潔県原子力専門員は「できるだけ早く凍土壁を効果のあるものにしてほしい」と要望した。

■「トラブルなく着実に運用を」県原子力安全対策課
 県原子力安全対策課の渡辺仁課長は「規制委の議論で指摘された課題を一つ一つ解決した上で、トラブルなく着実に運用できるようにしてほしい」と求めた。

カテゴリー:福島第一原発事故

「福島第一原発事故」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧