東日本大震災

「原発事故関連死」アーカイブ

  • Check

見守りに人的支援拡充を 県全体の審査会設置必要 本社座談会

 福島民報社は、東京電力福島第一原発事故に伴う避難生活などで命を落とす震災(原発事故)関連死の課題を探り、抑止につなげるため、有識者らを招き座談会を開いた。東日本大震災と原発事故から3年2カ月余りが経過した今も関連死は増え続けており、出席者は避難の長期化などにより被災者が心労を蓄積させているとの認識で一致。避難者の心のケアのための人的支援の拡充を求める意見が相次いだ。市町村によって関連死の認定判断に差が生じていると指摘し、県全体の審査会の設置を求めた。
 座談会では、原発事故被災者の救済に取り組む新開文雄弁護士、成井香苗臨床心理士、相馬広域こころのケアセンターなごみセンター長の米倉一磨精神科認定看護師をはじめ、家族を関連死で亡くした渡辺彦巳さん(川俣町)、災害弔慰金の受給申請中の樽川和也さん(須賀川市)、県北地区在住富岡町民自治会事務局長の三瓶一義さんが関連死抑止に向け意見を述べた。
 県内の関連死は26日現在、1699人で、津波や地震で命を落とした直接死の1603人を上回っている。出席者は関連死が増え続けている現状を捉え、「震災関連死ではなく、原発事故関連死だ」と指摘した。
 仮設住宅の避難住民の見守り活動を繰り広げている米倉氏は「道路や道の復旧は進んでいるが、被災者の心のケアはこれからも続く課題。被災者の発する全てのSOSに気付くためには人員が少ない」と現状を報告した。「人材を確保するためには現在の不安定な雇用環境の改善が欠かせない」と述べ、行政の財政支援の拡充を通し、避難住民の見守り活動を地域に根付かせる必要性を訴えた。
 県内では、市町村などが災害弔慰金制度の審査会を設けるなどして関連死かどうかを判断している。背景には「避難の過酷さなどは(住民により近い)市町村が把握している」(県)との見解がある。ただ、関係者からは、死因と原発事故の因果関係の見極めなどをめぐり、審査会間で差が生じ、被災者の不公平感につながっているとの指摘が出ている。新開氏は「審査会を県が設置し、市町村ごとの認定の格差を是正すべき」とした。
 避難の長期化による心労などで心身の健康を害したり、持病を悪化させたりしている現状について、成井氏は「避難者は『あいまいな喪失』を抱えている。つらくても失われたことを認めると、新たな生き方が見えてくる」とした。

■県、格差是正に前向き
 県は審査会を設けない理由として「避難経路や避難生活の長期化などの実態は、市町村の方がきめ細かく把握している。各市町村が判断するのが妥当」とし、従来の考えを変えていない。
 一方で、「現在の弔慰金制度にはさまざまな課題があり、認定の平準化のため、市町村の意見を聞きながら国とも協議していく」と格差是正に前向きな姿勢も示した。

カテゴリー:原発事故関連死

「原発事故関連死」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧