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座談会(6)見守り活動広げよう 防止対策

三瓶一義氏

 -原発事故関連死の増加傾向は、避難住民をはじめ県民が原発事故によってさまざまな心労を抱えている裏付けとも言えます。仮設住宅などでは関連死を防ぐため、さまざまな取り組みが行われています。見守り活動の現状をお聞きします。

 米倉一磨氏 心労から逃れるためにアルコールなどに走った避難住民に禁酒、減酒させるのは、なかなか難しい。それ以前に避難者が発している「SOS」のサインをいかに拾い上げるかが重要になります。しかし、男性の避難者は、なかなかサロンなどに出てきてくれない。表面化しない「SOS」にどう気付いてあげられるのか、が大きな課題となっています。
 三瓶氏 県北にある富岡町の借り上げ住宅のうち、自治会に参加しているのは約70世帯で、約60世帯は入会していないのを確認しています。町役場に聞くと、他にも約20世帯はあるそうです。入会していない世帯などには自治会で運営するサロンなどの連絡が滞りがちです。関連死を減らしていくためには、家から外に出ることができず、引きこもっている人をケアすることが重要です。
 自治会では避難住民の孤独死を防ごうと、できるだけ家から外に連れ出す活動をしています。町から町民の避難先の住所を聞き、集まりの案内などを郵送していますが、個人情報保護の観点から、町から提供された住所を使って戸別訪問はしてはならないと制限されています。避難者を関連死から救うためにも、もっと自治会が動きやすい柔軟な対応を取ってほしいと思います。
 米倉氏 避難住民が気軽に相談できる体制づくりを進めるべきです。また、避難者の変化を見逃さないための支援者側の研修の場を充実させることも大切です。
 さらに原発事故発生前、その地域で行われてきた祭りや行事などを再開するなどして避難住民が外出する機会を増やし、見守りの幅を広げていく工夫も必要でしょう。
 一方、相双地域では避難住民の心のケアをする人員が足りていません。避難住民の体調悪化や自殺の恐れのある人らを見つけだすには、時間をかけて人間関係をつくる必要があります。戸別訪問に多く人を割けば、それだけサロン活動の人員が足りなくなってしまうのが実情です。
 成井氏 喪失感を抱えた避難住民らの心のケアをするには、専門的な技術や知識、経験を持った臨床心理士などの支援者が必要です。しかし、十分に確保できていません。本来であれば、津波、原発事故の影響を強く受けた相双地域でこそ、他地域よりも人は手厚く必要なはずです。サロンなどに来られず、家に引きこもっている人には戸別訪問するしかありません。一番深刻な人に手を差し伸べられない事態になりかねません。
 新開文雄氏 相双地域で人材が足りなければ、他の地域からでも支援者を集める手だてを考えなければなりません。心労を抱える避難住民の心のケアは喫緊の課題です。支援者の交通費負担などに行政が支援するような仕組みづくりが重要です。
 米倉氏 人材不足の背景には、一年契約という雇用の在り方も関係しています。私たちの「相馬広域こころのケアセンターなごみ」のスタッフは県の委託事業として活動しており、契約が1年ごとの更新です。
 雇用条件を整備して長く働ける環境をつくらなければ、多くの有能な人材は集まらず、マンパワーが充実しません。
 震災、原発事故から3年が経過しました。道路やライフラインなどはある程度復旧、復興へ向かっていますが、心のケアはこれからも長期的な取り組みが求められます。被災直後の緊急的な組織ではなく、恒常的な組織として地域に根付かせるべきです。

■三瓶一義氏
 さんぺい・かずよし 富岡町の前中町行政区長。原発事故で富岡町から福島市に避難している。福島市・県北地区在住富岡町民自治会事務局長。自治会では町民が集まるサロンを町の委託で運営しているほか、借り上げ住宅で暮らす高齢者支援に取り組む。69歳。

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