東日本大震災

「原発事故関連死」アーカイブ

  • Check

座談会(8)生活再建へ上積みを 災害弔慰金

 -偏りのない被災者救済のためには、何が必要でしょうか。

 新開氏 原発事故関連死に特化した認定基準を作るべきです。自然災害の判断基準を、そのまま適用し続けることに疑問を感じます。県独自に条令を改正し、原発事故の被災者を救済してほしいですね。法律を改正するよりは、ハードルが低いと思います。
 成井氏 確かに、原発事故によるストレスが、どれだけ命を縮めることになったかを認定するのは難しいことです。だからこそ、原発事故関連死に特化した新しい基準、制度が必要だと私も思います。新しい認定基準づくりは難しいと思いますが、早期に実現させてほしいものです。

 -災害弔慰金の最高額は500万円です。妥当な額でしょうか。

 新開氏 世帯の生計維持者の死亡は500万円、その他は250万円ですが、もっと手厚くしても良いと思います。一家の大黒柱を失い、遺族の生活再建にお金は不可欠です。これも県独自に弔慰金に上積みするなど県の条例改正などで、対応できるのではないでしょうか。文部科学省原子力損害賠償紛争審査会の中間指針を見ると、災害弔慰金をもらうと、損害賠償でその分が差し引かれるわけではありません。
 東電に直接請求しても、裁判を起こしても、時間がかかる上、因果関係を認められない場合が数多くあります。この現状を考慮すると、災害弔慰金を拡充する方が、被災者の救済にいち早く直結すると思います。

 -原子力損害賠償紛争解決センターへの裁判外紛争解決手続き(ADR)の申し立ては、これまで1万1000件以上に上ります。

 樽川氏 私はADRで東電と和解しました。最初は直接請求しましたが、父親の自殺と原発事故の因果関係は認められませんでした。ADRでは、男性の平均寿命を75歳として計算しました。父親は64歳で亡くなったので、年間300万円の収入があったとして、11年間で3300万円稼げた計算になりました。ただ、自殺者は、交通事故などの後遺症を苦にして自殺した人と同じように、2割程度に落ち着くらしく、3300万円の20%に、葬儀代を足した程度しか賠償されませんでした。
 しかし、お金をもらっても父は返ってきません。東電には仏前で謝罪してほしいだけなんです。
 新開氏 東電への直接請求より、ADRへの申し立ての方が実際の損害額が報われやすくなっていると思います。どこに請求するかで、損害賠償の金額に2倍以上の差が出るという不合理が生まれています。和解したケースを例に挙げます。生活の担い手でない人の死亡慰謝料の場合、東電に直接請求すると、東電は交通事故の自賠責基準で対応していて、だいたい1000万円。ところが、紛争解決センターは「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」という通称「赤い本」を基にしていて、遺族の数にもよりますが、2000~2200万円です。
 中間指針では、避難したときの慰謝料は規定していますが、人が亡くなったときの慰謝料については触れていません。大事な人が亡くなったときに、どこに請求するかで全く違うという現状を放置しておいていいのでしょうか。心労を抱えての死亡に関する慰謝料の基準を定めるため、中間指針の見直しもすべきだと考えています。

カテゴリー:原発事故関連死

「原発事故関連死」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧