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復興への闘い 震災3年の現実(15)第2部 市町村の模索 公営住宅の未来は

葛尾村の災害公営住宅が建設される三春町の恵下越地区。住宅建設後も共存への模索は続く

 避難者が長期的に暮らす災害公営住宅の建設は、建物周辺の環境整備や避難者と地元住民の共存が課題に挙がる。
 国や県による災害公営住宅の建設は、あくまでも被災者の住宅確保が目的だ。受け入れ自治体が周辺整備を望んでも、予算化はされない。
 三春町恵下越(えげのこし)地区に葛尾村民用の災害公営住宅が建設される。町は宅地造成計画に合わせ、県道と災害公営住宅を結ぶ町道の建設を考えた。交付金事業としての整備を国や県に求めたが、認められなかった。
 また、町は富岡町民向けに県営災害公営住宅の建設を予定する平沢地区で、候補地南側の町道約300メートルを舗装化する計画を立てた。町は町道が災害発生時に入居者の避難路になるとして、交付金の充当などを要望している。
 受け入れ自治体と、県や国の災害公営住宅整備をめぐる考えにはずれがある。副町長の橋本国春(61)は「災害公営住宅の存在は町の活性化にもつながる」と整備する意義を語る。

 災害公営住宅の受け入れで町に暮らす人が増えれば、地域経済へプラスの効果が見込める。これまでも仮設住宅や借り上げ住宅に暮らす避難住民の消費が町の小売業やサービス業に好影響を与えた。
 三春町の人口は約1万7000人だ。両町村の災害公営住宅入居希望者は約600人に上る。町村部の人口減少は都市部よりも深刻だ。一時的とはいえ、「定住者」が数100人規模で増える機会はめったにない。
 災害公営住宅整備を町の活性化につなげようとする民間の動きも出てきた。葛尾村の災害公営住宅建設で、三春、葛尾両町村の住宅建設業者は今春、任意組織の建設推進協議会を結成した。村から災害公営住宅の設計・施行を一括受注するため、同協議会は今後、社団法人に移行する。町内では工事関係者による飲食や燃料購入など幅広い経済効果が期待される。

 三春町と富岡町、葛尾村は3年前から毎年春と秋に交流事業を催している。5日は三春町中心部で三春時代行列を開催するなど、良好な関係が続いている。3町村の住民の間で目立ったトラブルは起きていない。
 仮設住宅は現時点で平成27年3月末が使用期限とされている。延長となる可能性は残る。仮設住宅に提供された土地はもともと町民が運動場などとして利用していた。使えない状態が長引けば町民の不満材料となる恐れがある。町は打開策として25年度、町営グラウンドの隣接地に広場を造り、町民の運動場や避難場所を確保した。
 葛尾村の幹部職員の1人は「地権者との用地交渉などは三春町の協力なしでは難しかった」と支援に感謝する。ただ、災害公営住宅の建設予定地は、避難者が将来的に古里に戻った後、どのように利活用されるのか。所有権はどこに帰属するのか。先は見えない。橋本は「今後も知恵を出し合う」と町と両町村が共存できる道を探す。(敬称略)

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