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【県の25年度セシウム検査】野菜・果実全て基準以下 26年度も対象数維持 国は縮小方針 財源確保が課題

 東京電力福島第一原発事故に伴い、県が平成25年度に実施した農林水産物の放射性セシウム検査で、野菜・果実の全てが食品衛生法の基準値(現在は1キロ当たり100ベクレル)以下となった。23年度の検査開始以来、初めて。全食品群でも基準値超の割合が大幅に減少した。県は風評払拭(ふっしょく)に向け、26年度の検査対象を前年度と同じ461品目とした。ただ、厚生労働省が検査対象の縮小を打ち出す中、継続実施に向けた財源確保が課題となる。

■減少傾向
 平成23年度から25年度までの食品群別の放射性セシウム検査結果は【表】の通り。野菜・果実が3年目で初めて、検査した5806点全てが食品衛生法の基準値(1キロ当たり100ベクレル)以下となった。木の実などを含む「その他」も初めて年間を通して基準値超えがゼロだった。原乳、肉類、鶏卵は前年度と同じく基準値を超えた検体はなかった。
 検査した全ての農林水産物のうち、基準値超が占める割合は23年度は3.4%だったが、24年度は1.8%、25年度は1.4%と減少傾向が進んでいる。

■異なる対応
 厚労省は3月下旬、本県を含む東北、関東など17都県の検査対象品目のガイドラインを見直し、98品目から65品目に約3割減らした。規模を縮小した理由について厚労省は「放射性セシウムが検出されない食品が多くなっている。効率的な検査を図るために見直しが必要だと判断した」と説明する。
 一方、県はガイドラインの品目に独自の検査品目を加えた461品目で検査を実施している。26年度も品目数を維持する。県環境保全農業課は「安全確保と風評払拭の観点から品目の規模を継続する必要がある」と強調。当面の間、同規模で検査を続ける考えだ。

■基金頼み
 県は検査の際にサンプルを生産者から買い取り、放射性物質濃度を調べている。サンプルの購入費など検査に必要な費用は年間約1億5000万円で、県の県民健康管理基金を取り崩して充てている。
 検査を始めた平成23年6月当初、検査に使える基金の枠は約20億円あったが、26年5月現在の残高は約6億円。検査以外の事業費にも充てているため、数年以内には底を突く計算だ。
 県は検査の対象品目を維持するため、国に安定的な財源づくりを求める方針。だが、厚労省が対象品目の縮小に動く中、十分な支援が受けられるかは不透明だ。

■生産者と温度差
 生産者側からは厚労省が示したガイドラインに不満の声が上がっている。JA新ふくしま危機管理センターの担当者は「国の感覚は現場と懸け離れている。風評はまだまだ根強い。検出されないから検査をやらないという選択肢はあり得ない」と現場との温度差を指摘する。
 福島第一原発では、事故から3年が経過しても依然として汚染水問題などトラブルが相次いでいる。廃炉作業には30年から40年かかるとされている。JA福島中央会農業振興課の担当者は「(モニタリングを)一体いつまで続けなければいけないのかと思う時もある」としながらも、「少なくとも原発の汚染水問題などトラブルが全く起きない段階になるまでは検査は必要だ」と訴える。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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