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建物補償個別に算定 中間貯蔵住民説明会開始

 東京電力福島第一原発事故で発生した除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設の建設に向けた初の住民説明会が5月31日、いわき市で始まった。政府は建設候補地の大熊、双葉両町の町民に対し、用地を国が買い上げることなどを盛り込んだ建設計画を初めて直接提示し、理解を求めた。候補地内の建物の補償は築年数と破損状況に応じて個別に算定することを明らかにした。一方、地域振興策の具体的な説明はなかった。
 建物の補償の算定で、築年数や損壊状況は不動産鑑定士ら専門家の意見を踏まえる。東電の土地・家屋の賠償とは別に、現状をそれぞれ算定する。
 ただ、家屋の雨漏れによる腐食や放射性物質による汚染の評価手法などは示されていない。個別算定によって住宅ごとの価格に差が生じる。住民に不公平感を抱かせないためには、政府のきめ細かな説明が不可欠となる。
 用地や建物の補償額については、地権者の生活再建の負担軽減などを目的に、5000万円までを特例で課税しない。一般の公共事業でも同様の措置を取っており、租税特別措置法を改正し、中間貯蔵施設の場合も該当するよう見直した。用地と建物の補償額の合計が6000万円の場合、5000万円分は課税されず、残りの1000万円が課税対象となる。
 環境省によると、現在、候補地がある帰還困難区域の土地の価値は失われている。現状で補償額を算定すると本来の価値より大幅に下がるため、政府は「将来使えるようになる土地」として計算し、被災者の生活再建につなげる方針を説明した。
 また、墓地を既存の別の墓地に移転したり、神社・仏閣の代替施設を整備し移転したりする場合、いずれも移転費用などを補償の対象にするとした。
 会場の勿来市民会館には大熊、双葉両町の町民約540人が訪れ、環境省の藤塚哲朗中間貯蔵施設チーム長、永島徹也中間貯蔵施設担当参事官らが施設の概要や補償などについて説明した。いわき会場終了後に茨城県日立市でも開催した。説明会は16日までに県内外で計16回開かれる。県や大熊、双葉両町は、住民の意見を踏まえ、政府と協議し、建設受け入れの是非を判断する。
 中間貯蔵施設は県内の除染廃棄物を最長30年間保管する。政府は大熊、双葉両町にまたがる第一原発の周辺の約16平方キロを用地として利用する計画で、平成27年1月の使用開始を目指している。

■地域振興策用地賃貸借 具体案や見解なし
 政府の対応が注目された地域振興策や用地の賃貸借について、具体案や見解は示されなかった。
 政府は地域振興に活用できる自由度の高い交付金の創設を表明している。政府は住民説明会を「意見を吸い上げる場」と位置付けており、県内外で開く住民説明会での要望などを地域振興策に反映させるとした。
 地権者の要望を受け、県などが求めていた、用地の賃貸借については依然「検討する」との回答にとどまった。

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