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【県内公立小中】 耐震化率80.8% 復旧優先で対応遅れ 前年と同じ全国44位 27年度完了は不透明

 今年4月1日現在の県内の公立小中学校(避難地域を除く2088校)の耐震化率は前年より4・6ポイント改善し80.8%となったが、全国平均を11・7ポイント下回り、前年に続き全国44位と対応が遅れている。東日本大震災に伴う緊急性の高い復旧工事を優先させているためだ。文部科学省が目標とする平成27年度中に耐震化が完了するかは不透明な状況だ。

■埋まらない差
 文科省が2日、全国の公立学校の校舎や体育館などの耐震改修状況調査結果を発表した。県内の公立小中学校の耐震改修状況は【表】の通り。
 全2088棟のうち、新耐震設計基準が導入された昭和57年以降の建設分(1072棟)を含め、1688棟が耐震性ありと判定された。震度6強の大地震で倒壊する恐れのある耐震性のない建物は247棟だった。このうち52棟は震度6強で倒壊する危険性が高いと診断された。
 小中学校の前年の耐震化率は76.2%で、今年は全国平均の上昇率3・6ポイントを1ポイント上回ったものの、全国の水準までには届かなかった。公立幼稚園の耐震化率は83.3%、県立高校は82.8%、特別支援学校は84.7%と小中学校を上回った。東京電力福島第一原発事故の影響で、楢葉、富岡、大熊、双葉、浪江、葛尾、飯舘の7町村は前年に続き調査していない。

■現場の苦悩
 県教委は震災と原発事故からの復旧事業や過疎地の統廃合問題などが、耐震化の進まない要因とみている。
 県内で最も多い445棟の対象施設を抱える郡山市は、このうち72棟が耐震性なしと判定された。
 同市教委は被災した学校施設の復旧工事を優先させていた。耐震化工事は今年度から本格的に着手する考えだ。しかし、前年に実施した耐震化工事では入札不調が発生した。被災した道路などの整備工事や除染作業などにより、人手や資材が不足している背景がある。今後は東京五輪の関連工事が本格化するため、着工の遅れを懸念している。
 県内では小中学校の統廃合を検討している市町村がある。このうち、県内で耐震化率が最も低い46.2%だった矢祭町教委は27年度、5つの小学校を統廃合する。いずれの校舎も耐震性がないと判定された。担当者は「統廃合される学校施設は利活用の検討を続けている」とし、方針が決まるまで耐震化工事に着手できない状況にある。耐震性のない校舎に通う児童に対し、防災教育の充実などを図り、万が一の事態に備える。

■期限迫る支援策
 子どもたちの安全を確保するため、県教委は各市町村に事情を聴き、耐震補強を対象とした国の財政支援などの活用を指導、助言する。文科省も必要に応じて各市町村に直接訪問し、予算の確保を含めた支援内容の拡充に努める。
 国は地震防災対策特別措置法に基づき、国庫補助のかさ上げ措置を実施している。震度6強で倒壊する危険性が高い建物の補強は、従来の3分の1から3分の2まで補助率を引き上げた。全国防災事業債としての交付金措置と合わせて、自治体の実質負担は6.7%ほどで抑えられる。補助率のかさ上げ措置は27年度末までと期限が迫っている。
 県教委は「子どもたちの安心を確保するためにも、支援策が有効なうちに手当てできるよう助言していく」としている。

【背景】
 文科省は公立学校の耐震化を促進するため、全国の幼稚園、小中学校、高校、特別支援学校を対象に平成14年度から毎年調査を実施している。このうち、小中学校は災害時の避難所になるなど、地域防災の観点からも早急な改修が求められる。本県では震災前から、市町村の財政難や学校の統廃合などの問題で、全国に比べ耐震化が遅れていた。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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