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(77)歯止め 支援の現場から 県外避難者どう守る 支援員 安易に増やせず

復興支援員の数が書かれた表に目を落とす桧野副町長

 「見守るエリアが広すぎる」。東京電力福島第一原発事故によって全ての町民が避難生活を強いられている浪江町。桧野照行副町長(65)は県外避難者数が書き込まれた日本地図に目を落とし、渋い表情を見せた。
 4日、毎月更新される県外避難者の内訳が手元に届いた。原発事故の発生から3年余りが過ぎた現在も県外で暮らす町民は、和歌山県を除く45都道府県の約6400人に上る。一つ屋根の下に暮らしていた家族は避難により離散した。正確な避難戸数は把握できていない。

 町は県外避難者を支えるため、国の特別交付税を活用し、復興支援員を配置する。町民や避難先の住民を町臨時職員として採用する。孤独になりがちな避難住民を一軒一軒訪ね、話し相手になる。賠償請求手続きの疑問、生活の不安、町への要望を聞く。
 全戸訪問を目標に掲げる。「顔と顔を合わせて交流することが大切。『どこにいても浪江町民』との実感が湧くように全避難住民をカバーしたい」―。桧野副町長が描いたシナリオ通りには進まなかった。
 平成26年度は宮城県や京都府、福岡県など1府9県に31人を配置する見通しがついた。しかし、支援員1人が担当するエリアは広大だ。群馬県の支援員4人は、群馬、新潟、栃木3県で約1100人を受け持つ。京都府の2人は2府10県の約200人を、福岡県の2人は四国地方や沖縄県を含む14県の約120人の支援を担う。
 体調が悪化している人やストレスをため込んでいる人、一人暮らしの高齢者らにきめの細かな見守りが必要なのは、重々承知している。しかし、支援員の数は限られている。
 2億円―。町が復興支援員制度を運用するための年間予算だ。事業費の国の負担は9割に当たる。今年度は町の要求通りの額が交付された。予算があったとしても、支援員の数は安易に増やせない。全国に点在している支援員の活動を把握する町職員の手が足りないからだ。「浪江を思う気持ちは行政も町民も一緒。絆をつなぐため、国や避難先自治体の人的な支援が欲しい」

 昨年、桧野副町長は山形や茨城、埼玉など各県で復興支援員が催した避難町民の集いの場を訪れた。「支援員には優しくしてもらえている」「人に会う機会をつくってくれてうれしい」。多くの町民から支援員への感謝の言葉を聞いた。「県外の町民は『古里』に飢えている」。桧野副町長は、そう確信した。
 一方で、見知らぬ地で、いまだ心労を抱え、苦しんでいる町民がいる。それなのに力になれていない。むなしさがこみ上げ、自問自答する。「これで『見守り』と言えるのか...」。解決策は見つかっていない。

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