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放射線 放射性物質 Q&A 甲状腺は放射線に「弱い」臓器なのか

 東京電力福島第一原発事故発生以降、甲状腺への注目が高まっています。甲状腺は放射線に「弱い」臓器なのでしょうか。

【回答者】県放射線健康リスク管理アドバイザー長崎大教授 高村昇さん

■ヨウ素集積しやすい傾向福島は暫定基準値を設定

 放射線被ばくによる健康影響は原則として、活発に細胞分裂をしている組織、あるいは活発に細胞分裂をしている個体により出やすいことが知られています。例えば、骨髄という組織は赤血球や白血球、血小板といった血球細胞を作る臓器で活発に細胞分裂しています。このため、骨髄が高い線量を被ばくすると血球細胞の減少といった急性症状や、骨髄の腫瘍である白血病のリスクが高まることが知られています。
 一方、甲状腺は甲状腺ホルモンを作る臓器ですが、骨髄ほど活発に細胞分裂をしているわけではありません。それにもかかわらず、チェルノブイリ原子力発電所の事故当時小児だった世代に甲状腺がんが多発したのは、事故によって放出された放射性ヨウ素が特に甲状腺に集積したためです。
 甲状腺で作られる甲状腺ホルモンの原材料は海草や魚介類などに豊富に含まれるヨウ素です。そのため、通常でも体の中に入ってきたヨウ素は甲状腺に集積しやすい傾向があります。チェルノブイリ事故の際に放出された放射性ヨウ素は食物連鎖の中で、特に牛乳に濃縮しました。牛乳を摂取した子どもの甲状腺に放射性ヨウ素が集積することで高い線量の内部被ばくが引き起こされ、これによってチェルノブイリでは事故から5年程度が経過してから甲状腺がんが多発したと考えられています。
 そのため、福島では事故直後から、暫定基準値を設定して、特に放射性ヨウ素による甲状腺の内部被ばくを低減化するための措置を取ってきました。

カテゴリー:放射線・放射性物質Q&A

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