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(81)歯止め 支援の現場から つながり構築が重要 孤立防ぎ、負の感情低減

被災者の心のケアの活動に取り組む堀さん。自殺予防のために人とのつながり保つことの重要性を指摘する

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故が原因とみられる県内の自殺者は3月末現在で46人に上る。岩手、宮城の両県を含めた被災3県の中で突出して多い。
 精神科医の堀有伸さん(41)は原発事故から約1年後の平成24年4月、福島医大の寄付講座の「災害医療支援講座」から南相馬市の雲雀ケ丘病院に派遣され、その後、副院長に就いた。それまでは東京の病院で勤務していた。医師不足に苦しむ被災地のために力を尽くしたいと志願した。
 原発事故から時が経過しても減る兆候を見せない被災者の自殺-。被災地の精神疾患を取り巻く状況を前にして見えてきたものがある。
 「避難生活などで我慢できる限界を超えた状況がずっと続いていると、どこかで魔が差す瞬間が現れやすくなる」

 不自由で先が見えない避難生活を送る中、被災者は精神的に追い詰められている。怒りや恨み、嫉妬などの負の感情が起こりやすい状況だ。内面にため込み続けるしかない。他人からは明るく元気に見えても、いずれは心の健康を保てなくなってくる。感情を強く抑えているほど、表に出たタイミングで突発的な行動を起こす恐れがあるという。
 自殺予防に「特効薬」はあるのか。「人とのつながりをつくることが一番」。堀さんは、こう指摘する。原発事故による避難生活で心に重荷を抱えていても、一人だけで悩んではいけない。本当に信頼できる仲間や身内に助けを求められる環境にあれば、自殺を選択する人は減ると説く。
 「NPO法人みんなのとなり組」。堀さんが中心になって24年7月に任意団体として発足し、25年5月にNPO法人として認証を受けた。「被災者にもっと寄り添って心のケアを進めなければならない」との思いからだ。ラジオ体操やハイキングなどへの参加を被災者に呼び掛ける。
 自殺の危険性がある被災者は孤立を深めているケースが多い。自殺予防教室などの場を設けても、なかなか来てくれない。「被災者の活動の場があることが大切。被災者が表に出るきっかけをつくれば、自然な形で人とのつながりできていくはず」。被災者の自殺を食い止めるための摸索が続く。

 堀さんは被災者の支援活動に取り組んでいるスタッフらも「心の健康を壊すリスクの高い集団」と指摘する。支援者を対象とした定期的な勉強会も始めた。外部から講師を招き、支援者が直面している課題を乗り越えるための知識や技術を身に付けてもらう。同時に同じ悩みを持つ者同士は互いに共感を覚えやすい。「人とのつながりが大切なのは、被災者も支援者も同じだ」
 =「歯止め 支援の現場から」は終わります=

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