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自殺 歯止めかからず 県内 被災3県で最多54人 まとまらない防止策 初の合同会議

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故が原因とみられる福島県内での自殺に歯止めがかからず、今年は5月末までに8人が命を絶った。内閣府が20日、福島市で開いた被災3県合同の初の自殺対策会議で明らかにした。平成23年6月の統計開始からの累計は54人に上るが、会議では原発事故という特殊要因を抱える本県に特化した自殺防止対策はまとまらなかった。


■50~60代に集中

 福島、岩手、宮城の被災3県の震災関連自殺者数の推移【表1】の通り。今年に入っての岩手、宮城両県はそれぞれ1人となっている。統計開始からの県内の自殺者は岩手県を24人、宮城県を18人上回っている。
 年代別などの内訳は【表2】の通り。今年に入っての県内の自殺者は60代が最も多く4人、次いで50代3人、30代1人となっている。原因・動機別(複数選択)では、「健康問題」が最多で5人。「家庭問題」と「経済・生活問題」がそれぞれ2人だった。


■「特殊事情考えて」

 合同会議は、被災3県の関係者がそれぞれの取り組みを紹介し、自殺防止につなげるのが狙い。内閣府をはじめ被災3県と各県の市町職員、被災者支援の民間団体関係者ら約40人が出席し、非公開で開かれた。
 席上、宮城県内の仮設住宅で行われている訪問活動の事例などが報告された。行政と民間団体が「心のケア」の必要な避難者について情報を共有し、一丸で対策に当たる必要があるとの意見で一致した。原発事故により古里への帰還時期が見通せず、避難者が精神的に追い込まれている本県のケースも紹介されたが、対応策は取りまとめに至らなかった。
 会議終了後、内閣府の担当者は、本県向けの対策について「自殺の背景を見極める必要がある」と説明し、早急に対策を講じる考えは示さなかった。一方、県内の出席者の一人は「国は福島の特別な状況を考慮してほしい」と求めた。


■個人情報の壁

 県保健福祉部の担当者は「生活再建や帰還時期のめどが立たなければ、(県内の)自殺のリスクは減らない」と指摘する。
 県内では今後、災害公営住宅の整備が進み、避難者が再び各地に分散する。このため、県は市町村や関係団体と引きこもりやアルコール依存などについての避難者の情報を共有し、訪問活動を強化する方針。ただ、移転先など避難者の個人情報提供に難色を示す避難自治体もあるとみられ、対策がスムーズに進むかどうかは不透明だ。


※「東日本大震災に関する自殺」の定義
 内閣府によると、該当要件は①遺体発見場所が避難所や仮設住宅など②自殺者が避難所や仮設住宅に住んでいた③東京電力福島第一原発事故による避難区域などの被災地から避難している④自宅や職場が地震・津波で甚大な被害を受けた⑤遺書で震災や原発事故を理由に挙げていた⑥生前に震災や原発事故を理由に自殺したいと遺族らに告げていた-など。内閣府が警察庁などの情報を基に平成23年6月から集計している。

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