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【被災高齢者施設】 11施設再開できず 全て相双、整備難航

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で被災した浜通りを中心とする特別養護老人ホームや介護老人保健施設など34高齢者施設のうち、11施設が再開できずにいる。県の集計で分かった。全て相双地区の施設で、避難先のいわき市や郡山市で仮設施設を整備するにも、資材や人件費の高騰による入札不調で建設が難航している。深刻な介護職員不足で規模を縮小せざるを得ない施設もある。

■仮設施設難しく
 再開していない11施設は【表】の通り。浪江町の特別養護老人ホーム「オンフール双葉」、大熊町の介護老人保健施設「ドーヴィル双葉」と認知症高齢者グループホーム「クレール双葉」を運営する博文会は、利用者の多くが避難しているいわき市でオンフールの仮設施設を優先して整備する。
 仮設施設の用地は、既に農地転用手続きや埋蔵文化財の調査を終えている。しかし、復旧工事や除染作業などで建築資材や人件費が高騰し、工事見積額は通常の2倍程度に膨らんだ。入札は不調に終わり、業者を選定できずにいる。平成27年度初めに仮設施設で事業を再開させる予定だったが、28年度にずれ込む見通しだ。
 福島第一原発から2・2キロの位置にある大熊町の特別養護老人ホーム「サンライトおおくま」は当初、いわき市内に仮設施設を設ける計画だった。しかし、介護職員確保や資金繰り、採算性などの面から再開を断念した。

■規模縮小
 相双地区では、介護職員不足も深刻だ。南相馬市小高区の避難指示解除準備区域にある特別養護老人ホーム「梅の香」は約1億円をかけて震災で壊れた屋根などを改修し、3月に工事を終えた。
 「施設は直せたが、介護職員が戻ってこない」。大内敏文施設長は人材不足が再開への最大の壁と指摘する。震災時と同じ規模で事業を再開するためには、少なくとも70人の職員が必要だが、60人ほど足りない。大内施設長は「60人の新規採用なんて不可能。職員15人ほどで20床から再出発するのが精いっぱい」と話す。
 福島労働局によると、介護関連職種の新規求人倍率は4月現在、県全体で2・46倍と人材不足が続いている。特に相双地方は県内最大の4・42倍に上る。県は県外から相双地方などに介護職員を呼び込むため、研修費用や就職準備金を無利子で貸し付け、1~2年間の勤務で全額の返還を免除する取り組みを始めた。
 ただ、一部の施設関係者からは「被災地に空き物件はほとんどない。住まいや医療、教育などの環境整備を併せて進めなければ県外から職員は集まらない」との声が上がっている。

【背景】
 震災と原発事故では、浜通りを中心とする34施設が被災した。このうち全体の約9割に当たる30施設は相双地方で、いわき市内が3施設、田村市内が1施設となっている。県は、34施設から避難を余儀なくされた1770人を対象に、約3カ月ごとに死者、退所者、再開した施設への入所者、県内外の施設などへの避難者を集計している。4月1日現在、死者は611人で、全体の34・5%を占め、前回集計日(1月1日)より0・8ポイント増加した。退所者は562人、再開施設への入所者は411人、避難者は186人。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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