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事故後10年 全て20ミリシーベルト未満 帰還困難区域 除染後の線量 国が試算

 政府は23日、東京電力福島第一原発事故に伴う帰還困難区域で除染を行った場合、事故発生十年後の空間放射線量が大半の地域で避難指示解除の要件となる年間20ミリシーベルト(毎時3.8マイクロシーベルト)を下回るとする試算結果を発表した。ただ、個人の年間被ばく線量は大半が12~2ミリシーベルトで、政府が除染の長期目標とする「1ミリシーベルト以下」を上回ると推計。今回の試算結果が、帰還時期を見通す指標になるかは不透明だ。

 空間放射線量が年間50ミリシーベルトを超える帰還困難区域では、本格的な除染が行われていない。政府は昨年9月から今年2月までに大熊、双葉両町の帰還困難区域の一部で除染モデル実証事業を実施。結果を基に、除染した場合の事故十年後までの空間放射線量を初めて試算した。
 線量が年間100ミリシーベルトと50ミリシーベルトの二つの地域で、除染の効果を3ランクに分けて行った試算結果は【表】の通り。線量が年間100ミリシーベルト(毎時19.0マイクロシーベルト)の地域は、平成33年3月に毎時3.7~1.6マイクロシーベルトまで下がり、避難指示を解除する目安となる年間20ミリシーベルト(毎時3.8マイクロシーベルト)を下回った。除染しない場合の毎時7.1マイクロシーベルトと比べ、最大4分の1程度まで低減する。
 一方、個人の年間被ばく線量は「農林業者」「事務員」「高齢者」の三つの生活パターンを想定して試算。年間100ミリシーベルトの地域では12~2ミリシーベルトとなり、政府が掲げる除染の長期的目標を達成できない見通しとなった。年間50ミリシーベルトの地域では、除染の線量低減効果が最も発揮された場合、1ミリシーベルトになるケースがあるとしている。
 政府の担当者は「試算結果だけで避難指示の解除は判断できないが、地域の将来像を考える参考材料にしたい」と説明している。
 NPO法人放射線安全フォーラムの多田順一郎理事は政府の試算結果について「試算通りに放射線量が減れば、帰還困難区域の広い地域で生活できるようになり、帰還に向けた明るい材料になる」とする一方、「実測値ではなく、机上で計算した試算結果にどこまで説得力があるか疑問だ」とくぎを刺した。
 内閣府原子力被災者生活支援チームの担当者が23日、福島市で開かれた政府の「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想」研究会の席上、試算結果を公表した。

※帰還困難区域
 東京電力福島第一原発事故に伴い、放射線の年間積算線量が50ミリシーベルトを超え、事故発生後5年間を経過しても20ミリシーベルトを下回らない恐れのある地域。大熊、双葉、浪江、富岡、飯舘、葛尾、南相馬の7市町村で設定されている。人口は約2・5万人、面積は約337平方キロメートル。人口、面積とも避難区域全体の約3割に相当する。

カテゴリー:福島第一原発事故

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