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県、認定格差是正目指す 市町村の事例共有化推進

 県は、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故に伴う避難生活などで命を落とす震災(原発事故)関連死の認定判断が市町村によってばらつきがあるため、市町村間で認定事例を共有することで格差是正を目指す。現行の災害弔慰金制度は自然災害を前提としている。死因と原発事故の因果関係の見極めなどで市町村間に差が出ており、遺族らに不公平感が生じている。
 25日開かれた6月定例県議会の一般質問で甚野源次郎議員(公明、福島市)の質問に、伊藤泰夫原子力損害対策担当理事が「発災から長期間経過し、災害(震災と原発事故)との関連性の判断が難しくなっている」とした上で、「市町村との情報交換会を随時開催し、認定事例のさらなる共有化に向け、助言や意見交換を行う」と答弁した。
 県によると、県内の関連死は25日現在、1729人で、津波や地震で命を落とした直接死の1603人を大きく上回っている。県は認定された県内全ての関連死を把握しており、市町村に参考事例として情報を積極的に提供し、認定判断を平準化させたいとしている。
 関連死をめぐっては、統一的な認定基準がない上、うつ病などを患って自殺した人を関連死と認めるかどうかなどで市町村の判断が分かれている。2月末現在の県の集計では、避難区域が設定された12市町村の認定率に最大で約2倍の開きが出ている。
 県内最多の457人を関連死に認定している南相馬市の桜井勝延市長は「自然災害による弔慰金制度に、原発事故で長期避難を余儀なくされている方々を適用することに無理が生じてきている。原発事故関連死という概念で新たな制度を創設すべきだ」とした。

■現行の制度では「限界」

 関連死認定をめぐる格差是正に向け、県が本腰を入れ始めた。判断に迷う市町村に、県が認定事例を示すことで、判断の幅が広がると期待される。ただ、原発事故に特化した関連死の認定基準や制度設計が新設されない限り、抜本的な被災者救済にはならないとの指摘があり、前途は多難だ。
 法曹界や首長らからは、地震や津波などの自然災害を前提とした現行の災害弔慰金制度を、原子力災害による長期避難という県内の特殊な状況に適用し続けていることに疑問の声が上がっている。
 自殺や災害弔慰金を所管する内閣府は「自然災害を対象にした制度なので、格差が出るのは仕方がない」と現行制度の限界を認めた上で「個別に、柔軟に対応してもらうしかない」としている。
 県も「避難者の実態をきめ細かく把握している市町村が判断するのが妥当」と従来の立場を変えてない。被災3県のうち岩手、宮城両県は県単位の審査会を平成23年中に設けたが、本県は設置してこなかった。
 原発事故から3年3カ月が経過した今、県は統一的な基準を示せば、市町村が過去にさかのぼって認定し直したり、認定された人が不認定になったりする可能性もあるとし、現場を混乱させかねないと懸念する。しかし、遺族の不公平感は解消されない。
 国や県のさらなる積極的な関与が求められている。(本社報道部・斎藤直幸)

※震災(原発事故)関連死 震災と原発事故発生後、避難生活などによる体調悪化や過労などが原因で亡くなるケースを、医師や弁護士ら有識者で構成する市町村の審査会が認定する。審査会を設置していない市町村もある。家計を支えていた生計維持者が認定された場合は災害弔慰金500万円、それ以外は250万円が遺族に支払われる。弔慰金は被災した遺族の生活再建にも重要な役割を果たしている。

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