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笑い声絶えぬ家族 「最後のメッセージ」大切に

■相馬市磯部 遠藤みどりさん(53)喜美さん(29)壱樹ちゃん(3)杏樹ちゃん(2)

 相馬市磯部の会社員の遠藤みどりさんと長男誠一さん(32)の妻喜美さん、孫の壱樹ちゃん、杏樹ちゃんは東日本大震災の大津波で自宅ごと流されたとみられている。
 元相馬地方広域市町村圏組合事務局総務課長で、みどりさんの夫の正一さん(62)は「明るいにぎやかな家庭を突如として失った。つらくて、悔しくて、悲しくて...。心に大きな穴があいたような気持ちを抱いてきた」と言葉を詰まらせ、家族と過ごした日々を思い返す。
 みどりさんは正一さんと長男夫婦、孫2人、正一さんの母の知子さん(87)の7人暮らしだった。約30年前、市内馬場野から沿岸部の磯部地区に嫁いだ。明るく優しい性格で、家族や友達を大切にした。料理が上手だった。正一さんは平成24年春に定年退職する予定だった。夫婦で旅行し、孫の成長を楽しみに穏やかに過ごすつもりでいた。
 喜美さんは宮城県川崎町に生まれた。性格は明るく、家族思い。みどりさんとは本当の親子のように仲が良かった。
 喜美さんの長男の壱樹ちゃんも明るい性格で、周囲にかわいがられた。恐竜が大好きで模型や図鑑で遊んでいた。23年4月に磯部幼稚園に入園するのを楽しみにしていた。杏樹ちゃんは「しっかり者」の女の子。物おじしない性格で、いつも壱樹ちゃんの後を追い掛けて仲良く遊んでいた。
 震災が起きる1週間前だった。22年5月に宮城県気仙沼市に嫁いだ長女の真貴子さん(29)、東京の大学1年生だった次男の正彬(まさあき)さん(22)が帰省し、家族9人で楽しく過ごした。正一さんは振り返る。「虫の知らせだったのか。全員がそろい、貴重な時間を過ごせた。笑い声が絶え間なく聞こえる、そんな平凡で当たり前の日々がずっと続くと思っていた」
 震災当日、みどりさんは市街地にある建設会社で働いていた。強い地震の後、会社から自宅に駆け付けた。喜美さん、孫2人と一緒にいたところに津波が来たとみられている。4人は程なくして内陸側の日下石地区で相次いで見つかった。23年7月に市内で告別式が営まれた。
 正一さんがみどりさんの勤務先にあった遺品を整理していると、雑記帳の片隅に家族への思いが記されていた。「お母さんを大切にしたい」「子どもたちにとって良い母親でいたい」「孫の成長を楽しみに過ごしたい」「お父さんと仲良く暮らしたい」
 正一さんは「妻が家族に残してくれた最後のメッセージ。思い出を大切にし、家族を弔い、焦らず、無理せず、一歩ずつ進みたい」と語る。市内に自宅を再建し、誠一さんらと新たな一歩を踏み出している。

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