東日本大震災アーカイブ

原発廃炉現場を視察 県議会調査団 ドイツ、作業20年続く

中間貯蔵施設内を視察する県議会の調査団員

【ドイツで紺野正人記者】
 脱原発・廃炉対策などを調査する県議会の海外行政調査団(A班)は10日、ドイツのグライフスヴァルト原発を訪れ、世界最大級の廃炉作業が行われている現場を調査した。
 同原発は、旧東ドイツ時代に旧ソ連の技術で建設された原発で、1990年の東西ドイツの統一後、他の旧ソ連製の原発と共に廃止された。当時、4基が稼働中、1基が試運転中、3基の建設が進んでいた。1995年から解体・除染が進められているが、約20年を経た今も終わっていない。
 視察団は、かつて同原発を運転・管理し、現在、廃炉作業を担っているノルト・エネルギー社(EWN)の広報責任者で、インフォメーションセンター所長のハルトムート・シンデル氏らから、廃炉作業の概要について説明を受けた後、解体物などを保管している中間貯蔵施設を視察した。
 施設には、放射線量のレベルに応じて1~8のエリアに解体物が分類されている。今回、核燃料が納められていた巨大な原子炉容器や、原子炉を取り囲んでいた蒸気発生器などの保管現場の見学が特別に許可された。
 これらはレベル7に相当し、線量が高く、切断作業ができないため、線量が下がるのを待っているという。それぞれに2メートルの距離の放射線量が記されており、今なお毎時50マイクロシーベルトと高線量の原子炉容器もあった。
 EWN社の幹部は「廃炉作業は一朝一夕にはいかない。中間置き場の役割は大きい」と強調した。
 佐藤憲保団長(自民党)ら「エネルギー政策・最終処分関係調査班(B班)」は10日、スイスのシェーナウ市を訪れ、再生可能エネルギーのみで発電した電力を供給する民間のシェーナウ電力会社を視察した。

カテゴリー:福島第一原発事故