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今を生きる "福島の鉄人"育てる 東京五輪へクラブ結成 「困難に負けない精神力を」

五輪出場を目指す菊池選手を指導する蓮沼さん(右)=福島市・あづま総合運動公園

■ユース五輪トライアスロン日本代表監督 浪江高津島校教諭蓮沼哲哉さん 37

 ユース五輪のトライアスロン日本代表監督に就いた蓮沼哲哉さん(37)=浪江高津島校教諭=は、東京五輪で活躍する本県選手の育成を目指したクラブチーム「トライアスロンアカデミー福島」を結成した。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故後、サテライト校の教壇に立ち、避難生活を送る生徒を励ましてきた。古里の復興を願う気持ちは強く、困難に負けない精神力を持ち福島を元気にする鉄人アスリートを育てると誓う。
 「もっと早く。限界まで回して」
 福島市のあづま総合運動公園に蓮沼さんの声が響く。トライアスロンの「バイク(自転車)」の走行を選手に指導する。ペダルを回す姿勢を細かくチェックし、力が効率良く車輪に伝わるようフォームを修正していく。
 2020年東京五輪の選手育成を目指すアカデミー福島には、県内の中学生から一般まで11人が所属している。プロ選手として国内外の大会を転戦する菊池日出子選手(27)=棚倉町出身、白河高卒=もメンバーだ。練習施設の使用料や遠征費などに充てる会費のみを徴収し指導料は取らない。
 練習日は週3回。トライアスロンの本場アメリカやオーストラリア、ニュージーランドなどに私費留学し、現地で身に付けた指導法で選手にアドバイスする。
 蓮沼さんは会津坂下町出身で会津高を卒業した。日本大文理学部に進学し、気力と体力の限界に挑むトライアスロンの魅力にひかれ、選手として活躍。平成17年に本県高校の保健体育教諭となった。
 震災発生時、勤務する浪江町の浪江高津島校で避難者の受け入れや救援物資の運搬、教え子の安否確認などに追われた。その後、二本松市の安達高敷地内に設けられた浪江高津島校サテライト校で、避難生活を送っている生徒の苦しみや悩みに接してきた。
 復興を進めるには、強い心を持った人材を育てる必要があると感じた。スポーツの力で、さまざまな困難に直面する県民に感動を与えたいとの思いが芽生えた。県内各地で活動する有望選手に声を掛け5月、福島市に拠点を置くアカデミー福島をスタートさせた。
 浪江高津島校に籍を置いたまま県教委の長期研修派遣制度を活用し、福島大大学院に通っている。総合型地域スポーツクラブの運営法を学ぶためだ。日本代表監督として初めて臨む第2回ユース五輪(中国・南京)の大会は8月に迫った。
 監督としての経験をアカデミー福島で生かす。「福島から世界で活躍する選手を必ず育て上げ、県民を沸かせたい」。蓮沼さんの夢への挑戦が始まった。

※ユース五輪 国際オリンピック委員会(IOC)のジャック・ロゲ会長が提案した14歳から18歳までを対象とした国際総合競技大会。夏季・冬季に分かれ、それぞれ4年ごとに開催する。2010年に第1回夏季大会がシンガポールで開かれた。第2回夏季大会は今年8月16日から28日まで、中国・南京で開かれる。28競技の222種目が行われる。蓮沼哲哉さんは今月2日、トライアスロンの日本代表監督に選ばれた。

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