東日本大震災

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特養待機4300人入所対象外 来春法改正「要介護3」以上のみに 被災の本県追い打ち

 「地域医療・介護総合確保推進法」の来年4月施行に伴い、県内で特別養護老人ホーム(特養)の入所待機者の約3割に当たる約4300人が入所対象から外れる。同法は新規の入所要件を原則、全面的な介護が必要な「要介護3」以上に限定している。県内は東京電力福島第一原発事故に伴う避難生活などが要因で要介護認定者、入所待機者ともに増加している。一方、避難区域で7施設が休止に追い込まれた。県や市町村は要介護者の受け皿づくりに対応しきれないため、国に要件緩和や支援を求める。

 県のまとめでは、平成25年4月1日時点の入所待機者は1万2495人いる。このうち日常生活で部分的な介護が必要な「要介護1」「要介護2」の認定者は4276人と、待機者の34・2%を占める。内訳は要介護1が1715人、要介護2が2561人。
 現在の介護保険制度は、要介護1以上の高齢者なら特養を利用できる。県によると、従来は申し込み状況や、一人暮らし世帯で日常生活に支障のある場合など運営する法人や市町村の総合的な判断により、要介護1・2でも入所していた。現在、県内152施設の入所者9322人のうち、要介護1・2は958人と全体の1割に当たる。
 要介護認定者、入所待機者の増加について、県は高齢化に加え、震災や原発事故の影響が大きいと説明する。
 県によると、26年2月末現在、要介護認定者は7万6635人と、震災前の22年度に比べ1万2807人増えた。入所待機者は25年4月に1万2495人となり、22年4月から1549人増えている。長期化する避難生活や、手狭な仮設住宅暮らしのために家族一緒に住めないなどの理由が大きいとみている。また、双葉郡などにあった特養施設が原発事故で避難区域に設定され7施設が休止したのも本県特有の事情だ。今回の入所対象の制限は原発事故対応が続く本県に追い打ちを掛けた形となっている。
 一方、県高齢福祉課は「施設を単純には増やせない」と説明する。施設を増やせば、運営費用が県民の支払う介護保険料や税金にはね返るためだ。各市町村は計画的に施設増設を進めているが、希望者の増加ペースに追い付かず、慢性的な施設不足状態が続く。同課は国に入所要件の緩和などを訴える方針で、「本県は震災、原発事故の影響という特殊事情があり、他県と一律に制度を進めるべきではない」と強調している。

■受け皿づくり指針示されず県、施設関係者に不安

 国は新規入所の対象外となる要介護1・2の認定者の受け皿づくりへの支援や具体的な指針を県や市町村に示しておらず、県や施設関係者は不安を隠せない。
 国は従来の訪問介護や通所介護などの在宅サービス、各市町村での介護予防事業などを組み合わせて対応するよう県と市町村に求め、知的障害者や認知症患者など「やむを得ない事情」の場合のみ入所を認める方針だ。
 県や施設は、サービスを拡充させるには新たな人員確保や経費が必要になると予想している。施設関係者は「十分に対応できるのか。早く具体的な事業内容を示してほしい」と困惑している。
 原発事故に伴う避難などが影響している介護職従事者不足も深刻だ。
 福島労働局によると、介護職の5月の有効求人倍率は2.37倍と高い水準にある。県は人材不足を懸念し「対象外となった要介護者の在宅サービスをこれまで以上に充実させられるかどうかは見通せない」としている。

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