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今を生きる 科学者へのきっかけに 母校原町高で実験、講話

後輩に実験の指導をする根本さん(中央)

■産総研研究員 根本耕司さん 33

 産業技術総合研究所(産総研)触媒化学融合研究センターの研究員根本耕司さん(33)=南相馬市原町区出身=は25日、母校の原町高で授業を行い、実験の指導や講話をした。「後輩たちに科学の面白さを伝えたかった」。その言葉の裏には、東京電力福島第一原発事故で損なわれた科学への信頼を取り戻したい、という研究者としての使命感があった。
 東北大工学部を卒業し、同大大学院を修了した後、理化学研究所勤務を経て昨年度から産総研に入った。バイオマス資源の研究などに取り組んでいる。
 研究一筋の生活を送る中、大きな衝撃を受けたのが福島第一原発の事故だった。社会に役立つはずの科学技術が結果として古里の人々に深い傷痕を残した。「子どもたちの心に科学への悪いイメージが残ったのではないか」という懸念が生まれた。次世代の若者が前向きな気持ちで研究者になれるよう役立ちたいと、自ら後輩に科学の魅力を伝える決心をした。
 授業には1、2年生24人が参加した。ペットボトルを薬品に浸して分解する実験を通じて再生可能エネルギーについて考えてもらった。自身が研究者になった経緯、産総研の仕事などについても説明した。生徒の進路相談にも親身になって答えた。
 楽しみながら実験をする生徒の姿を見て、「来て良かった」と心から思えた。「(今回の授業が)科学の道を志すきっかけになれば、うれしい」。将来、研究者同士として後輩と再会する日を夢見ている。

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