東日本大震災

「福島第一原発事故」アーカイブ

  • Check

古里つなぐ野馬追 いつか浪江から出陣

兄弟そろって出陣した稲本幸平さん(左)、幸弘さん

 南相馬市原町区の雲雀ケ原祭場地で27日に行われた相馬野馬追の本祭。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で今なお避難を余儀なくされている騎馬武者らが集い、古里復興への思いを胸に馬を駆った。「この伝統をつないでいく」。震災と原発事故後も途絶えることなく守り続けてきた誇りを未来へ引き継ぐことを誓った。
 雲雀ケ原祭場地に向かう、標葉郷(しねはごう)の軍勢を律する螺(かい)の音が響くと、騎馬武者の心が奮い立った。浪江町出身の稲本幸平さん(22)、幸弘さん(15)兄弟は避難先から標葉郷の螺役として出陣した。「野馬追があるから古里に戻ってくる」。兄弟、仲間との絆を晴れ舞台で確かめ合った。
 幸平さんは10回目、幸弘さんは5回目と、それぞれが節目の野馬追を迎えた。東京電力福島第一原発事故を受け、稲本さん家族は千葉県柏市に避難したが、初陣以来、震災前から休むことなく野馬追の舞台を踏み続けている。幸平さんは今年3月、単身で南相馬市鹿島区に移った。「少しでも浪江町に近い場所から出陣したかった」
 幸弘さんは柏市で通う高校が夏休みに入ってすぐ、幸平さんの元に駆け付けた。避難先では螺を練習する時間が限られている。兄の家で本番直前まで調整を続けた。「(兄の存在が)本当に心強い」と語る。
 震災、原発事故で標葉郷勢は全国に散り散りになった。参加したくてもできない仲間がいまだに大勢いる中、標葉郷の伝統を守っていくのは自分たちだという自負がある。「いつかは浪江から出陣を果たす」。兄弟で轡(くつわ)を並べ、誓い合った。

カテゴリー:福島第一原発事故

「福島第一原発事故」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧