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今を生きる 避難者応援の大熊町関東事務所開所1カ月 心に寄り添い手助け 1都5県の町民1380人見守る

避難者コミュニティー支援活動を続ける星川さん(手前)

■町復興支援員 星川美智子さん 50

 東京電力福島第一原発事故による避難者の絆維持に取り組む大熊町コミュニティ支援関東事務所(さいたま市浦和区)は、開所から1カ月余りが過ぎた。自ら避難者で、町復興支援員として活動している星川美智子さん(50)は、古里を追われ関東地方に移った町民宅を1軒1軒訪ねている。避難生活の苦労や悩みに耳を傾け、「一緒に頑張ろう」と励ます。希望を感じてほしい。その思いで被災者と向き合う。

 星川さんは大熊町で生まれ育った。夫誠さん(56)、長女かおりさん(21)の一家3人は震災前、父母と兄夫妻と一緒に暮らしていた。原発事故発生後、誠さんの会社の社宅がある埼玉県川口市に高校3年だったかおりさんと共に3人で避難した。
 田舎暮らしの大きい家、広い庭は消えた。父母や兄夫婦はいわき市の仮設住宅に移り、会うことも減った。ニュースに本県の話題はほとんどなくなり、「原発事故は、忘れ去られるのか」と不安な日々だった。
 心の支えはかおりさんだった。高校卒業後、慣れない環境に負けずに勉強を続けてきた。4月から念願の美容師として働き始めた。生き生きした表情を見るたびに前向きに生きる大切さを感じた。4月に町の復興支援員募集と、関東事務所開設を知り「自分にも何かできれば」と応募した。
 星川さんを含め関東事務所の復興支援員3人が担当するのは、東京や埼玉など関東の1都5県に避難する約1380人だ。
 「生活が不安で、1年間、うつで家から出られなかった」
 「仲間がいない。境遇を説明しても分かってもらえず、同郷の人と話したかった」
 面会する避難住民は心に余裕がない。「悩みを聞いてあげたい。同郷だから分かり合えるのに...」。目の前には支援を必要としている住民はたくさんいる。避難住民宅を訪ねる地道な活動に、もどかしさも感じる。
 震災前のような町民同士の絆の復活を目指し、星川さんは活動を続ける。避難住民へのヒアリングやアンケートを進め、10月までに関東圏の町民の絆づくりやコミュニティーづくりに役立てていく考えだ。
 「自分が避難者だからこそ、苦しんでいる人の心に寄り添って、元気を取り戻す手助けをしたい。それが自分の心の復興にもつながるはず」

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