東日本大震災

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福島で専門家会議「放射線と健康リスクを超えて」 国際協力の在り方探る

本県復興に向けた国際協力について意見を交わす阿部センター長(右)ら

 東京電力福島第一原発事故による県民の健康への影響を国内外の専門家が検証する国際専門家会議「放射線と健康リスクを超えて」は8日、福島市の福島ビューホテルで開幕した。初日は福島医大や国内外の専門家が調査・研究の現状や成果を発表し、パネル討論で本県復興に向けた国際協力の在り方を探った。
 日本財団の主催、福島医大、笹川記念保健協力財団の共催、長崎大の協力。パネル討論で福島医大の阿部正文放射線医学県民健康管理センター長や世界保健機関(WHO)、国連科学委員会の専門家らがパネリストを務めた。
 復興に向けた国際機関の情報共有の在り方が議論され、阿部センター長が「国際的に権威のある機関の情報発信が世界に大きな影響を与える。福島の現状を科学的に分析し、正確に伝えてほしい」と求めた。パネリストからは、専門家と地域住民との対話の重要性、被災を乗り越えた成功事例を多くの人々が共有することの大切さを指摘する意見が出た。一方、国際機関が発信する情報を受け入れる政府や行政機関にも努力が必要との見解も示された。
 最終日の9日は県内の住民らが意見発表する。


■低線量被ばくへの対応など 事例や研究成果報告

 初日の発表では、東京電力福島第一原発事故による低線量被ばくへの対応などの事例や研究成果が報告された。
 国際放射線防護委員会(ICRP)のクリストファー・クレメント科学事務局長は県民との対話集会などICRPの取り組みを紹介し、専門家と住民の連携が重要だと指摘。「放射線防護の文化を創出し、普及していく必要がある」と主張した。
 ニューメキシコ大のフレッド・メトラー医学部放射線科名誉教授は、子どもへの放射線被ばくの影響をテーマに研究内容を発表した。「子どもは成人の3~5倍ほど放射線の影響を受けやすい」とされていることに、「全ての健康影響に対するリスクが高いわけではない」との見方を示した。その上で、成長段階に応じて調査・分析を進める必要性を訴えた。
 アルゼンチン原子力規制庁のアベル・ゴンザレスシニアアドバイザーは放射線による健康への早期の影響はなく、晩発も想定されていないとの見方を示した。ただ、「放射線は心理的副作用を与えている」として精神面への対応を課題に挙げた。

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