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JA独自に農家救済 コメ概算金大幅下落で 加算金、融資で所得補てん

 農家から販売委託を受けた際にJAから前金として支払われる平成26年産米の概算金が過去最低水準に下落したため、県内JAは単価の上乗せや融資などで農家救済に乗り出す。19日現在、県内17JAのうち8JAが加算金での支援を決めたが、下げ幅を穴埋めするには十分でなく、生産意欲の低下や離農などが懸念されている。JA関係者は全国的な過剰供給に加え、東京電力福島第一原発事故の風評が影響しているとして、政府や県、市町村に積極的な支援を求めている。
 全農県本部が決定した26年産米概算金は県内の全銘柄で前年を下回った。主力品種のコシヒカリの概算金は【表1】の通り。前年産の概算金に比べ浜通りが4200円、中通りが3900円の大幅減となった。会津は2100円減の1万円で踏みとどまった。
 概算金は等級検査が終わり次第、JAから農家に支払われる。販売を待たずに収入が得られるため、農家にとっては欠かせない制度だ。ただ、全国的に過剰供給で20万トンもの繰り越し在庫がある上、本県は浜通り、中通りを中心に原発事故の風評が根強い。26年産米を早期に売り切るため、低水準の単価設定を余儀なくされた。
 概算金の大幅下落は生産意欲の低下に直結する。JAは農家所得の補填(ほてん)を実施する。県内JAの農家救済策は【表2】の通り。
 JAそうまはコシヒカリの概算金に1俵(60キロ)当たり1100円を加算し、8千円とする。ただ、25年産の概算金には3100円及ばない。目標とする6900トンの集荷目標に達した場合、上乗せ金の総額は約1億2千万円に上る見通し。仮に販売代金で加算金の負担分を賄えなかった場合、東電に対し差額分の賠償請求を検討する。
 JA新ふくしまはコシヒカリ一等米で県内JAで最も高い1俵当たり1800円を上乗せするが、それでも前年の概算金と比べ2100円のマイナス。JAいわき市は1俵当たり200円、JAあいづは100円をそれぞれ加算する。JAみちのく安達、たむら、いわき中部、ふたばも上乗せ額を調整している。
 加算金以外の支援も検討されている。JAあぶくまは、農家が負担する1俵当たりの出荷経費を通常の200円から100円に減額する。JAそうまは肥料代や農薬代などの支払期限の延期にも取り組む。多くのJAが生計を維持するための融資を検討している。JA郡山市は市に支援を求めており、JA福島中央会は近く、国に対し積極的な需給調整と農家所得の確保を要望する。


■農家「焼け石に水」

 概算金の大幅下落で農家の採算ラインは大きく割り込む。減収分の9割を積立金から補って影響を緩和する国の経営所得安定対策(ならし対策)は認定農業者や集落営農など一定規模以上の農家に限られる。
 相馬市の農業島光春さん(59)は「上乗せは評価できる」としながらも、「焼け石に水だ」と嘆く。種苗代、肥料代、燃料費、借地料などの必要経費を考慮すると、1俵当たり1万5千円程度の収入がないと赤字になるという。「風評払拭(ふっしょく)など根本的な対策が必要だ」と指摘した。
 国は農地を集めて大規模農家などに貸し出す農地中間管理事業を農政改革の重点としているが、会津地方のJA関係者は「営農規模を拡大しても販売価格が低くては担い手が離れていくかもしれない」と危惧している。

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