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【第一原発汚染水浄化】ALPS性能向上不可欠 国、県関係者 年度内完了危ぶむ声

 東京電力福島第一原発の汚染水浄化をめぐり、国、県の関係者から多核種除去設備(ALPS)の性能向上とトラブル防止を求める声が相次いでいる。汚染水は1日数百トンずつ発生している一方、処理が追い付かず、東電が目標としている平成26年度内の浄化完了が危ぶまれているためだ。東電は「初めて導入した設備だけに、改良には時間がかかる」としており、手探りの対応を迫られている。

東電「改良には時間」 
■公約
 ALPSは既設の1基(三系統、1日最大処理量750トン)に加え、増設(三系統、同750トン)、高性能(一系統、同500トン)の3基全てが稼働して9日で18日目を迎える。
 東電によると、10月28日から11月4日までの1週間の汚染水の処理量は3基合わせて8619トンに上り、1日換算で1231トンとなる。現在は3基とも試運転中のため夜間に点検で停止しているが、12月の本格稼働後には1日当たり2000トンを目指すとしている。
 しかし、4日現在、敷地内のタンクに貯蔵されている汚染水の量は35万1800トン。1日当たり2300トン以上を処理しないと、今年度内に浄化は完了しない計算だ。
 その上、敷地内では地下水が建屋に流入し1日に300トン~400トンの汚染水が生まれている。ALPSは昨年3月の試運転開始から運転停止などのトラブルが相次いでおり、安定的な運用が課題となっている。
 今年度内の浄化完了は、東電の広瀬直己社長が安倍晋三首相に明言した「公約」だ。目標達成は至上命令で、社内から「意地でも成し遂げたい」との声も上がる。

■試行錯誤
 ALPSの処理能力が現在のままでは、福島第一原発構内に汚染水が長期間たまり続けることになる。汚染水処理の能力向上やトラブル防止に向けた対策は進むのか。
 政府関係者は、最先端の科学技術が集められた設備だけに、これ以上の品質改良はすぐには難しいとの見方を示す。海外製の部品があり調達に時間を要する。高さ20メートル弱と設備の規模が大きく、各種作業に手間取っているのが実態だという。
 東電関係者は「現在は試運転中であり、試行錯誤を繰り返している。レベルアップという段階には至っていない」と明かす。

■二度手間
 東電は年度内の浄化完了という目標達成に向け、汚染水から放射線による人体への影響が強いストロンチウムを除去する可搬型装置を導入した。
 関連装置も含め1日当たり900トンの処理が可能になるが、ストロンチウム以外の放射性物質をALPSで取り除く必要があり、二度手間になる。
 東電側は「ストロンチウムを取り除くことで、汚染水の危険性が減る」と主張する。これに対し、処理を待つ汚染水が増えるのを危惧する県幹部は「ALPSの処理速度を速めるのが先決だ」と指摘している。

■背景
 安倍晋三首相は昨年9月、東京電力福島第一原発を視察した。その際、東電の広瀬直己社長は平成26年度中に敷地内の汚染水の浄化を完了させる意向を伝えた。安倍首相は直前にアルゼンチンで開かれた国際オリンピック委員会総会で東京五輪の招致に向けて「(汚染水問題の)状況はコントロールされている」と国際社会に表明していた。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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