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識者の目 「早急に具体策取るべき スタート地点立ったばかり」 京都大原子炉実験所助教 今中哲二氏

いまなか・てつじ 広島市出身。大阪大工学部原子力工学科卒、東工大大学院修士課程原子核工学修了。昭和51年から京都大原子炉実験所助教。原発事故発生後、飯舘村で放射能汚染調査を重ねている。専門は原子力工学。64歳。

 東京電力福島第一原発では、1号機建屋カバーの解体に向けた作業が始まり、4号機使用済み核燃料プールの燃料取り出しが完了した。長年にわたり原子力の持つ危険性を訴えてきた京都大原子炉実験所の今中哲二助教に廃炉作業の課題と見通しを聞いた。今中氏は「廃炉作業のスタート地点に着いたばかり。早急に具体的な対策をとらねばならない」と認識を示した。


 -廃炉作業の現場をどのように見るか。

 「先日、4号機使用済み核燃料プールの燃料取り出し作業で、極めて放射線量が高い使用済み燃料1331体全ての移送を完了した。これについて、『廃炉の大きなヤマ場を越えた』と報道していたマスコミがあったが、ヤマ場ではなく、玄関の前の掃除が終わったようなもの。まさにスタート地点に立ったばかり。3年たっても、溶け落ちた燃料がどうなっているのか分かっていない状況だ」


 -廃炉作業の優先順位は。

 「まず第一に溶け落ちた燃料がどうなっているのか知ることが先決。その次に格納容器の壊れている部分を特定し、修理が可能なのかどうかも確かめなければならない。3番目に、原子炉建屋に入り込む水をどうやって止めるかだ。この三つの問題を解消して初めて廃炉に向けて確かな工程表を作ることができる。現在の工程表は、まさに絵に描いた餅。具体的な計画を立てられるわけがない」


 -問題点はどこにあるのか。

 「原発事故発生後、東京電力が行ってきたことを見ていると、物事を冷静に見て判断していない。全て希望的観測に基づいている。原子力に関わっている研究者や企業は、常に最悪を想定して対処しなければならない。燃料は溶けてませんとか、水は漏れてませんとか、タンクは大丈夫だとか。全て想定が甘すぎる結果、うまく作業が進んでいない。作業員の不足も懸念される。現場のことをよく知っている技術者が被ばく線量が高くなってくると、現場に出られなくなる」


 -今後どのように進めていくべきか。

 「そもそも東京電力が原発事故の事故処理に当たっているが、国がもっと前面に出てくるべきだと考える。国の責任で廃炉作業をした方が、作業が進むと思う。県民をはじめ国民にしっかり廃炉作業の現場の状況を発信する必要がある。原発周辺の人たちが3年8カ月もの避難生活を送っているという現実をしっかり受け止め、県民のために早急な対策が必要だ」

カテゴリー:震災から3年8カ月

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