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今を生きる 浪江の味で準優勝 全国中高生料理選手権 「町民に食べてほしい」

古里の料理で準グランプリに輝いた平子さん

■福島に避難 二本松に通学 平子葵さん(浪江中3年)

 東京電力福島第一原発事故で、浪江町から福島市に避難している平子葵さん(15)=浪江中3年=は、全国の中高生が料理の調理方法と腕前を競う「オレンジページジュニア料理選手権」の個人部門で準グランプリに輝いた。古里自慢のサケとカボチャを使った創作料理が高く評価された。「全国に浪江の素晴らしさを発信したい」と夢を膨らませている。

 選手権は、料理レシピ中心の生活情報誌を出版する「オレンジページ」(東京都)が主催し、3回目となった。
 料理作品のテーマは「大切な人と味わいたい料理」で、全国から未発表の1468点が寄せられた。このうち個人部門は3点が書類審査を通り、料理審査が10月に東京で開かれた。パソコンのインターネット上のウェブ投票も行い、今月16日に結果が発表された。
 平子さんは二本松市に仮校舎を置く浪江中に通う。今年、家庭科の授業でサケとカボチャを使った郷土料理「はらこ飯」や「カボチャまんじゅう」を作った。鹿又淳子教諭(55)が平子さんの料理に対する思いとその腕前に感心し、選手権への応募を勧めた。平子さんは「愛する家族や友人、全国に避難している町民に、古里を思う気持ちを伝えられたら」と選手権への参加を決め、新しい料理の開発を始めた。
 母直美さん(45)が台所で調理する姿に憧れ、4歳から台所に立ってきた。小学5年だった平成23年3月に東日本大震災と原発事故が起きる。郡山市や栃木県、新潟県、猪苗代町の体育館や親戚宅などを転々と移った。転居が続き、学校に通えない時期もあった。
 直美さんから「またいつ大きな地震が起きるか分からないから」と言われ、余震が落ち着くまで1年以上、包丁を握らなかった。ただ、料理のできなかった時期を経て「もっと料理が好きになった」という。
 考えた新メニューは「サケしんじょのパンプキンソース添え」。約2カ月かかった。サケを山芋やかたくり粉であえ、油で揚げる料理「しんじょ」に仕上げた。中に刻んだ大葉を加えた。大きさは食べやすい俵型の一口サイズに。甘口のソースには、町民が浪江町産の種を二本松市で作付けしたカボチャを使った。
 調理審査で自慢の腕前を披露すると、自然と笑みが広がった。グランプリは逃したが、オレンジページによると「非常に僅差」だった。古里への思いや調理の手際、味のどれも高い評価を受けた。
 将来はスポーツ選手の栄養管理士を目指す。料理に県産食材を使い、食べた運動選手が活躍すれば風評の払拭(ふっしょく)にもつながると考える。「機会があれば、学校や町の皆さんにも食べてほしい」。古里の新しい味を広めようと仮設住宅で腕を磨いている。

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