東日本大震災

「復興への闘い」アーカイブ

  • Check

復興への闘い 震災3年の現実(21)第3部 市町村の奮戦 南会津 観光独自策に自信

 南会津町の中心部にある町役場3階で、商工観光課長の相原盛隆(57)は平成27年度の予算要求をまとめる作業に没頭した。卓上の資料には観光誘客行事とともに、教育旅行や夏合宿の予約件数が記されている。いずれも26年を大きく上回る見通しだ。
 東京電力福島第一原発事故から3年が過ぎ、町への観光客は原発事故前の8割程度まで回復したが、風評対策に特効薬はないと感じている。「地域のために汗を流すのが課の仕事だ。知恵を絞って一歩ずつ進むしかない」と話す。

 東日本大震災、原発事故直後の町の観光は風評で窮地に立たされた。主要施設の入場者は半減、5000人が訪れていた農村体験教育旅行は申し込みが途絶えた。
 国や県の支援策は町の振興策と「ボタンの掛け違い」のようなちぐはぐさがあった。県教委のふくしまっ子体験活動応援事業は子どもの屋外活動などを補助する。一定の誘客効果があったが、開始から1年で補助が縮小された。25年の大河ドラマ「八重の桜」に期待したが、効果は会津若松市と周辺にとどまった。
 相原ら商工観光課の職員は新たな振興策を考えた。町は県教委の体験活動応援事業に独自の補助を上乗せした。26年までの3年間で観光物産展や合宿費の補助など約1億円の風評被害対策予算を投じた。しかし、教育旅行など観光客数は伸び悩んだ。

 26年度、町内の農家民泊に県外の3校から申し込みがあった。4年ぶりの教育旅行だった。27年度は既に県外の9校から予約が入っている。職員は旅行事業者と一緒に県外の学校を訪れ、本県の現状や南会津の魅力を説明してきた。「方針は間違っていなかった」。職員は確信した。
 広域連携でも成果が出つつある。町は下郷、只見、檜枝岐の南会津郡の町村と一緒に観光商談会を開き、高い評価を受けた。物産展は各町村の特色が来場者の関心を高める相乗効果を生み、特産品が飛ぶように売れた。
 衆院選の公示が近づく。「市町村の実情に合った補助が少ない」。相原は町と国の考えが懸け離れていると感じている。「地域に目を向けるのは町も政府も同じはず」。地域が持続できる国の新たな観光施策を望んでいる。(文中敬称略)

カテゴリー:復興への闘い

「復興への闘い」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧