東日本大震災

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事業者 国の無策に怒り 再生エネ買い取り見直し 「参入しやすい体制を」

 国の再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度見直しは再生エネの導入拡大に実質的につながりにくい見通しとなり、県内の事業者は「原発被災地の福島の事業者が参入しやすい体制にすべき」と国の対応に憤った。一方、中断していた契約手続きが来年1月中旬をめどに再開される見通しとなり、安堵(あんど)する事業者もいた。
 「今回の見直しは、国の無策、無計画さの象徴だ」。太陽光発電を中心に会津地方の自然を生かしたエネルギー自給を目指している会津電力社長の佐藤弥右衛門さん(63)は抜本見直しとした新たな制度を強く批判した。
 同社は太陽光発電第1期事業として、約2・5メガワット分を売電している。第2期事業として新たに約2・5メガワット分の太陽光発電所建設を計画していたが、一連の「中断問題」で売電に向けた契約回答を保留されていた。
 「新ルール」では出力制限がある上、年間360時間を超えても無補償となってしまう。経済産業省の対応に不満を募らせているが、東北電力の買い取り再開に向けた動きには理解を示す。ただ、新規の買い取り価格や発電抑制制度の実際の運用方法など不透明な部分が多いのを懸念する。
 佐藤さんは「復興と地域活性化に向け県内事業者の発電分の全量買い取りは不可欠だ」と語気を強めた。
 一般社団法人「ふくしま市民発電」は相馬市で事業所の屋根などを活用して太陽光パネルを設置し、再生可能エネルギーの普及などに取り組んでいる。今後申請する予定もある。理事長の新妻香織さん(54)は「国は、再生エネ推進を目指している本県の提言にもっと耳を傾けるべき。福島を特別枠として、モデル的に再生エネ導入を進めてほしい」と求めた。
 二本松と郡山両市で太陽光発電事業を計画し、接続の契約手続きを進めている二本松市の吉田設備社長の吉田一伸さん(64)は「固定価格制度が再び動きだすのは有り難い」と今回の新制度に一定の評価を示す。
 ただ「民間企業は利益がでなければ事業を進められない」として、買い取り価格が採算に見合う金額にならなければ事業継続は難しいとの見方を示した。その上で「大手企業ばかりでなく、地元企業が参入しやすくなるような仕組みづくりをしてほしい」と望んだ。

■家庭用発電 影響限定的か
 今回の見直しでは、出力制限がなかった家庭用の太陽光発電についても、「新ルール」適用後の申請分から電力会社による出力の制限が可能になった。
 県内で家庭用の太陽光発電などを手掛ける事業所の代表は「新しい発電抑制のルールが導入されても、一般家庭へ大きな影響はない」と受け止めている。来年4月以降、買い取り価格改定で1キロワット時当たりの価格が引き下げられるとみており、採算性の悪化を理由に契約をしない事業所が出る可能性が高く、発電量が抑制されると考えている。このため、一般家庭にまで発電抑制を求めることはないだろうと分析した。
 別の会社社長も「家庭用の太陽光発電は自給自足を目的にしている人が多い。影響は少ないのでは」と話し、国の動向を注視する考えを示した。

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