東日本大震災アーカイブ

今を生きる ケーキで地域支える 「古里に店」夢実現

クリスマスケーキ作りに励む正登さん(右)と舞さん

■二本松で洋菓子店経営 平栗正登さん(35)舞さん(31)夫婦

 二本松市のJR安達駅前の洋菓子店「アトリエ・ド・ガトー」は今月、開店から1年を迎えた。店主の平栗正登さん(35)は妻舞さん(31)と一緒にケーキ作りに精を出す。二人は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の発生後、「自分のケーキを福島の人に食べてほしい」と古里に戻った。県民が笑顔になる菓子を作り続ける。

 毎朝4時、洋風の建物にぽっと淡い光がともる。平栗さん夫婦は人々がまだ寝静まる中、作業を始める。
 正登さんは郡山高を卒業後、東京の日本菓子専門学校に進学した。菓子作りの基礎を学んだ後、12年間、関東の洋菓子店で「体に優しいケーキ作り」にこだわり、腕を磨いてきた。
 いつかは古里で店を持ちたいと思っていた。震災と原発事故の発生で諦めかけたが、どうしても夢を実現したいとの強い思いで、昨年12月に自分の店を開いた。
 「素材の味がしっかり出ていておいしい」と評判を呼び、常連が少しずつ増えた。経営は軌道に乗ってきた。
 来年に向け、県産食材をふんだんに使ったケーキの開発と、地域住民を対象にした菓子作り教室の開催という新しい目標を掲げる。
 平栗さん夫婦は「ケーキ屋にしか実現できない感動がある」と固く信じている。洋菓子を通じて、地域を支えると誓う。

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