東日本大震災

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長崎大からの研修医 研さん終え一時九州へ 南相馬の現場復帰誓う

「南相馬に帰ってくる」と話す大園さん

 「医者としての実力を付けて南相馬に帰ってきます」。長崎大から地域研修制度を利用して南相馬市立総合病院で学んできた研修医の大園恵介さん(28)が26日、3カ月の研修を終えた。被災地医療に関心を持ち、南相馬での滞在・研修は3度目。やりがいを感じる一方、住民の「本当に助けたい気持ちがあるなら見捨てないで」という言葉が心に刺さった。いったん九州に帰るが、何年か後に同病院に戻り、被災地に貢献する気持ちを固めている。
 大園さんは長崎市出身。産業医科大(北九州市)に在学中の平成23年秋、大学が企画した被災地視察に参加し、南相馬市などを訪れた。わずかな滞在で現場の緊張感に圧倒された。
 初期研修先に選んだ長崎大学病院には本県の病院でも学べる地域研修制度があった。25年12月から研修指定病院である南相馬市立総合病院に所属し、1カ月間、先輩医師と仮設住宅などを回って健康相談に当たった。
 これだけ多くの人が仮設住宅で暮らしているとは思っていなかった。不自由な避難生活の中で、脳卒中が増加傾向にあると知った。そんな時、小高区の女性から「あなたは1カ月だけど、私たちはこれからずっとこういう暮らし。実際に助けてくれんと困るよ」と面と向かって言われた。
 もう一度来なければならないと思った。病棟の現場も知りたかった。何より南相馬の人たちの優しさと、ゆったりとした空気感が心地よかった。特別枠として再度の研修を認めてもらい、今年9月末、市立総合病院に戻ってきた。
 病院では脳卒中センターの整備計画が進んでいた。大学時代から進路は脳外科に決めていた。指導役で脳神経外科科長を兼務する及川友好副院長(55)らは「病院に残ってほしい」と望む。しかし、今の自分に一人前の医師としての力はない。長崎大学病院での研修終了後、産業医科大学病院で脳外科の専門医の資格取得を目指す。
 大園さんは「『残って』と言われるのは光栄。実力を付けて戻ってきたい。将来はこちらで開業も考えている」と語る。及川副院長は「彼のような若い力が来れば、地域を変える動きになる。期待は1000パーセント」と笑顔で送り出した。

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