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今を生きる 最後の箱根 成長見せる 実業団断り、来春県内に就職

最後の箱根路で古里を元気づける走りを誓う今井選手

■学法石川高卒 東洋大4年 今井憲久選手 22

 4年間の集大成を箱根路に刻む-。29日に発表された第91回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝、1月2、3日)の区間エントリーで、前回に続く総合優勝を狙う東洋大の今井憲久選手(22)=4年、学法石川高、東北中卒=は8区に配置された。実業団からの誘いを断り、東日本大震災からの復興に役立ちたいと県内企業に就職する。今季は故障などで不本意な結果が続いたが、大学最後の駅伝で快走し、県民に成長した姿を見せる。

 今井選手は震災、東京電力福島第一原発事故の影響を受ける古里への思いを胸に、レースに挑む。今年1月、3年生で箱根駅伝に初出場。4区を区間3位と好走し、チームの総合優勝に貢献した。その後、実業団から勧誘を受けた。大学の先輩が所属し、全日本実業団対抗(ニューイヤー)駅伝にも出場する強豪だった。だが断った。地元のため、県内で働くと決めていたからだ。
 3年前の3月、学法石川高を卒業し、東洋大陸上部の寮に入って間もなく震災が起きた。高校時代に合宿したいわき市の沿岸部は津波に襲われた。知人が避難した話を聞いた。「福島が大変な時に陸上をしていていいのか」。大学入学当初は悩んだが、活躍で県民を元気づけようと厳しい練習に耐えてきた。
 最上級生となった今季は5月に左太ももを痛めた。その後も体調不良や就職活動で夏合宿に参加できなかった。11月の全日本大学駅伝で6区を走ったが、中盤以降に失速。箱根駅伝は悔しさを晴らす舞台となる。
 10月、スーパーなどを展開するマルト(本社・いわき市)から就職の内定を受けた。震災直後、多くの店が閉める中、地元住民に食料品などを提供し続けた「地域密着」の姿勢に魅力を感じた。
 仕事と競技を両立し、国体などを目指す。平成21年を最後に出場していない市町村対抗県縦断駅伝競走大会(ふくしま駅伝)で地元・白河市の初優勝に貢献したいという。会社も仕事第一を前提としながら、今井選手の競技生活を支援する意向を示す。
 今井選手を高校時代から指導する酒井俊幸監督(38)=石川町出身=も決断を尊重してくれた。1、2年時、結果が出ず腐りかけた時も、指揮官はげきを飛ばし続けた。「最後は褒めてもらえる走りをしたい」と師への恩返しを誓う。
 「大好きな福島のプラスになりたい」。新春の大舞台で県民を沸かせる。

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