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【相馬、新地の津波被災者仮設住宅】移転完了の時期不透明 自宅再建「未定」残る 入居期限延長は難しく

 相馬、新地両市町がそれぞれ進める東日本大震災の津波被災者向け仮設住宅の再編で、入居者の移転完了時期などをめぐり課題が浮上している。設置者の県は平成27年度末を入居期限としているが、相馬市では「住宅再建の見通しが立っていない」とする入居者もおり、対応に迫られる。大半の入居期限を独自に今年9月末とした新地町では、期限後に入居者の住宅が完成するケースも出るとみられ、関係者は苦慮している。

■個別対応が必要
 相馬市は、県が県内の仮設住宅の入居期限とした27年度末を区切りとし、まず市内の津波被災者らが暮らす1000戸について再編、撤去を検討している。
 昨年秋に実施した住民意向調査では、住宅再建の見通しを「未定」とした答えと、不在などのための無回答が合わせて27戸に上った。仮設住宅は無料だが、自宅を再建せず災害公営住宅に移ったとしても家賃を支払う必要が生じる。「未定」とした中には高齢者や生活困窮者が含まれているとみられ、それぞれの経済状況や健康状態に合わせた生活再建の支援が求められる。
 立谷秀清市長は市災害対策復興会議で「恒久住宅への移行に際し、将来が見通せない被災者をきめ細かくケアすることが欠かせない」と繰り返し述べている。市建設部は住民の生活実態や今後の住まいに関する意向の把握に努め、個別に対応していく方針だ。

■借地料が発生
 新地町は、8カ所に約570戸ある仮設住宅を2カ所に集約する。統合される6カ所の入居期限を今年9月末としたが、入居者の再建した住宅が期限直後に完成するケースも出るとみられる。
 仮設住宅は本来の工業団地や運動施設、民有地などに建っている。町は、震災から丸5年目を一つの区切りとして27年度内に撤去を完了し、従来の用途に戻したい考え。入居期限を延ばし、解体工事が翌年度にずれ込むと民有地の借地料が発生する。財政負担を考慮して期限延長は避けたい考えで、加藤伸二都市計画課長は「27年度末の完了に間に合うためには、解体の着工時期をどこまで延ばせるか...」と頭を悩ませている。

■防犯・防災に不安
 相馬市と新地町では、それぞれ3月までに津波被災者向け仮設住宅の入居者の移転先となる住宅団地や災害公営住宅の整備がほぼ完了し、転居が加速する。仮設住宅に空き部屋が増えれば、防犯・防災への不安が増し、コミュニティー維持に支障が出るのではないかと懸念されている。
 相馬市は仮設住宅の代表者を臨時雇用する独自の「組長・戸長制度」を設け、管理・運営を任せている。仮設住宅での孤独死が社会問題となる中、高齢者を見守る役割も担ってきた。組長・戸長のなり手が不足すれば、制度は成り立たない。
 市の関係者は「組長・戸長が受け持つ区割りを変更するなど運営見直しが必要になる」とみている。

【背景】
 津波被災者の仮設住宅再編に向け、相馬市は市幹部や仮設住宅の代表による検討委員会を設立した。市内の仮設住宅は津波被災者向けが1000戸、東京電力福島第一原発事故の避難者向けが500戸。津波被災者の移転先として宅地分譲地104区画、災害公営住宅410戸を平成26年度内に設ける。新地町は仮設住宅集約計画案を策定し、今月から住民説明会を始める。同町の仮設住宅は原発事故避難者分も含め573戸。宅地分譲地157区画、災害公営住宅、高齢者共同住宅の計125戸について26年度で整備を完了する。県内ではいわき市に津波被災者向け仮設住宅が189戸、南相馬市に同市の津波被災者と原発事故避難者が入る仮設住宅が2783戸ある。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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