東日本大震災アーカイブ

郷土の絆 再興の力に 避難区域設定 6町村成人式

タイムカプセルを開け、笑顔で記念撮影する新成人=浪江町

 11日に県内各地で行われた成人式。東京電力福島第一原発事故による避難区域がある町村の成人式では、出席者が古里で生まれ育った誇りを胸に、それぞれの立場から復興を支える誓いを立てた。

■カプセルを開封
【浪江町】二本松市安達文化ホールで行い、193人が晴れの日を迎えた。
 馬場有町長が「美しい故郷を忘れず、町の再興に力添えをお願いする」と式辞を述べ、町内各地区の代表に証書を手渡した。新成人を代表し青田祥恵さん(20)=神田外語学院、幾世橋出身=が誓いの言葉を述べた。青田さんは今春、東京の白百合女子大に編入し、英語の勉強に一層力を入れる。客室乗務員になるという4、5歳ごろからの夢をかなえるためだ。「世界各国で多くの乗客に接し、福島や浪江の魅力を伝え、復興に貢献したい」と瞳を輝かせた。
 浪江小と大堀小の出身者は式の後、卒業当時のタイムカプセルを開封した。このうち浪江小の卒業生は「深い絆で結ばれている6の3」と書かれた横断幕や「絆」と記した習字作品を見つけた。
 新成人らは「震災前のタイムカプセルなのに。運命的なものを感じる」と驚いていた。

【楢葉町】いわき市の楢葉小・中学校中央台仮設校舎体育館で行い、対象者103人のうち77人が出席した。松本幸英町長が新成人代表の専門学校生飯高星哉さん(20)に成人証書を手渡した後「皆さんのあふれる若さとパワーでさまざまな困難を乗り越えてほしい」と式辞を述べた。
 矢内賢太郎町教育長が激励し、青木基町議会議長、恩師を代表して松本良三元楢葉中校長、吉野正芳衆院議員(本県5区)が祝辞を述べた。新成人を代表して大学生楠紳太郎さん(20)が謝辞を述べた。

【富岡町】郡山市のベルヴィ郡山館で行い、新成人155人が臨んだ。
 宮本皓一町長は「困難を乗り越え、町や日本を支える人材に成長することを心から期待する」と式辞を述べ、新成人代表の根本平さんに成人証書を手渡した。塚野芳美町議会議長らが祝辞を贈った。
 引き続き記念行事を行い、新成人がバンド演奏を披露した。懇親会も開いた。

【大熊町】東日本大震災発生後、いわき市で初めて行い、いわきワシントンホテル椿山荘に対象者124人のうち100人が出席した。
 渡辺利綱町長が「町の除染には長い年月がかかる。皆さんの熱意と希望が復興に欠かせない」と期待を込めた。新成人を代表し小田諒太さん=北里大2年=が「仲間と共に、町の現状をさらに良くしていけるように未来を築いていきたい」と決意を述べた。
 出席者全員で母校・大熊中の校歌を歌い、絆を確かめた。

【飯舘村】福島市飯野学習センターで行い、対象者78人のうち約60人が出席した。
 一人ずつ菅野典雄村長から成人証書を受けた後、愛沢裕輝(ひろき)さん=東京工科大2年=が「村への誇りを持ち続け、復興を担う存在になりたい」と誓った。祝いの神楽と合唱に続いて新成人が村民歌を歌い、式典を締めくくった。

【川俣町】町中央公民館で行い、対象者154人のうち、避難区域の山木屋地区を含む新成人約130人が出席した。
 今野聖(あきら)さん=会社員=が代表し、成人証書を古川道郎町長から受けた。古川町長は「若者が希望を持って暮らせる川俣をつくりたい」と式辞を述べた。鈴木順也さん=東京消防庁=が「古里に貢献できる社会人になりたい」と抱負を語った。