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【森林・ため池 汚染廃棄物】搬入先決まらず 中間貯蔵の対象外 現場保管長期化も

 東京電力福島第一原発事故に伴う森林やため池の放射性物質低減事業で発生する汚染土などの搬入先が決まっていない。放射性物質汚染対処特別措置法に基づく除染の廃棄物は中間貯蔵施設に搬入されるが、環境省は除染以外の廃棄物を同法の適用対象外とみなしているためだ。県は「同じ廃棄物なのに区別すべきではない」と搬入を認めるよう求めている。汚染土などの行き先が決まらないことで、現場保管の長期化や仮置き場確保の難航が懸念されている。

■前に進まない
 環境省は「森林全ての面的な除染は困難」「水による放射線の遮蔽(しゃへい)効果でため池周辺の環境に与える影響は小さい」などの理由で、生活空間への影響が大きい場合などを除いては、特措法に基づく除染の対象として認めなかった。
 このため、県は平成25年度から農林水産省の財政支援を受け、間伐などによる「ふくしま森林再生事業」に着手。26年度からは復興庁の福島再生加速化交付金を活用した、ため池の放射性物質対策事業が可能になった。いずれも27年度から事業が本格化する。
 しかし、国直轄除染や国の財政支援による市町村除染とは違い、汚染土などの中間貯蔵施設への搬入が法的に担保されないという課題が残ったままだ。
 ふくしま森林再生事業は、空間放射線量が毎時0.23マイクロシーベルト以上で汚染状況重点調査地域に指定された市町村のうち、現時点で30市町村の民有林30万1088ヘクタールが対象となっている。
 「中間貯蔵施設に搬入する前提で仮置き場の選定を進めている。出口が決まらなければ前に進まない」。約1万2000ヘクタールの民有林で間伐などに取り組む川内村農村振興課の担当者は搬入先が決まらない現状を不安視する。

■早急に道筋を
 県と農水省が実施した、ため池の放射性物質検査では、1940カ所のうち576カ所の底土から1キロ当たり8000ベクレル超の放射性セシウムが検出され、営農再開に向けた障害となっている。
 国は、26年度内に具体的な工法や積算方法を盛り込んだマニュアルを策定する方針だ。ただ、底土の除去や拡散抑制など採用する工法によって発生する汚染土の量は異なり、現場での一時保管や仮置き場への搬入の在り方にも影響するとみられる。
 県農地管理課の野内芳彦課長はため池の汚染土について「(特措法に基づく)除染廃棄物と同様の位置付けになるよう早急に道筋をつけてもらいたい」と訴える。


■中間貯蔵容量に限度 法解釈見直し求める声

 東京電力福島第一原発事故に伴う森林やため池の放射性物質対策で発生した汚染土の扱いをめぐり、環境省が中間貯蔵施設への搬入を認めていない背景には、放射性物質汚染対処特別措置法で定められた法的根拠のほかに、中間貯蔵施設の容量限度や東電の負担増などがあるようだ。

■余地
 環境省によると、中間貯蔵施設の貯蔵容量は最大2800万立方メートルで、そのうち除染廃棄物などは減容化した後で最大2200万立方メートルと推計している。東京ドーム(124万立方メートル)の約18倍に当たる。除染土壌などの推計発生量の内訳は【グラフ】の通り。
 残りの600万立法メートルの使い道について同省担当者は「バッファー(緩衝材)的な役割のために残してある」と説明する。追加的な除染で発生した汚染土や現時点で推計が困難な分野の貯蔵を視野に入れているという。
 「施設には限りがある。何でもかんでも入れられるわけではない」(環境省関係者)というのが本音で、除染以外の廃棄物を搬入するかどうかの判断は現時点で定まっていないという。

■東電の負担
 一方で環境省は、特措法施行(平成24年1月)以前に行われた学校除染に伴う廃棄物については、中間貯蔵施設に運び込む方向で検討している。「特措法の改正は難しい」として、法解釈の範囲内で搬入の可否を判断していく考えを示唆している。
 ただ、特措法では、除染や廃棄物搬入にかかる費用は最終的に国が東電に負担を求める仕組みになっている。除染以外の廃棄物も運び込んだ場合、東電の負担がさらに膨らむことへの懸念もあるとみられる。

■道路建設でも
 国土交通省によると、建設中の115号国道バイパス「相馬福島道路」では、これまでに約2万5000立方メートルの汚染土壌などが発生している。しかし、環境省は中間貯蔵施設への搬入対象外としているため、現場近くの仮置き場で一時保管している。
 国交省福島河川国道事務所の担当者は「やっている作業は除染と変わらないので、搬入できずに取り残されては困る。特措法の解釈を見直すなど適切に対応してほしい」と求めている。

【背景】
 放射性物質汚染対処特別措置法は、放射性セシウムなどで汚染された土壌の除染や廃棄物の処理に関する根拠法がない「法の空白状態」を回避するため、東京電力福島第一原発事故後の平成23年8月に議員立法で成立した。同法に基づいて実施される措置は、原子力損害賠償法による損害と位置付けられ東電が負担すると明記されている。東電の費用支払いが円滑に行われるよう国は必要な措置を講じると定めている。ただ、中間貯蔵施設への搬入対象をめぐっては、法解釈の見直しによる対象拡大を求める意見が出ている。

※中間貯蔵施設
 東京電力福島第一原発事故の除染で出た県内の汚染土壌や1キロ当たり10万ベクレル超の廃棄物などを保管する施設。除染で取り除いた土壌や側溝の汚泥、草木、落ち葉などを集中的に貯蔵する。大熊、双葉両町にまたがり、敷地面積約16平方キロ。除染土壌などは最大2200万立方メートルの貯蔵を想定している。国は、保管から30年以内に県外で最終処分する方針。今年1月からの搬入開始を目指していたが望月義夫環境相は16日、3月11日までの搬入開始へと軌道修正した。

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