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個人年間追加被ばく量、実測値政府推計の3分の1

 南相馬市立総合病院の坪倉正治医師らの研究で、個人が身に着けるバッジ式線量計による年間追加被ばく量の実測値は政府の推計式から算出した数値の約3分の1であることが分かった。推計式が屋外滞在時間を実際より多く見積もっていることや、空間線量率から実効線量に正しく換算していないことなどが要因としている。27日、同病院が発表した。
 外部被ばくについて空間線量から推計した数値と、バッジ式線量計の結果に隔たりがあることは以前から指摘されていた。坪倉医師らは東京電力福島第一原発事故後18~30カ月にバッジ式線量計で調べた同市の小中高校生520人の実測値と、検査対象者の自宅前空間線量率から政府の推計式で計算した値を比較した。
 バッジ式線量計の平均が0.8ミリシーベルトなのに対し、推計式では2.4ミリシーベルトだった。
 政府の推計式は1日のうち屋外に8時間滞在することを想定しているが、実際には同市の児童の場合、4時間以内が平日で97%、休日で85%だった。一律40%と想定する建物の遮蔽(しゃへい)率は、空間放射線量が高い地域ほど高い傾向があることも分かった。
 個人レベルの実測値と推計値を詳細に比較した分析は今回が初めてという。論文を坪倉医師、野村周平氏(インペリアル・カレッジ・ロンドン公衆衛生大学院)らが専門誌に発表した。
 国が年間追加被ばく線量の目標とする1ミリシーベルトから換算した毎時0.23マイクロシーベルトという数値について、坪倉医師は「大きく安全側に比重を置いた値。実際に1ミリシーベルトに達するのは0.5~0.6マイクロシーベルト程度の線量だろう」としている。一方で「『だから除染は必要ない』という論理で、今回の研究結果を使ってほしくない」と話した。

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