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「賠償の底流-東京電力福島第一原発事故」アーカイブ

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第2部 営業損害(12) 地域医療崩壊の危機 早急な救済求める声

原発事故前の小高赤坂病院。再開への糸口は見つからないままだ

 南相馬市小高区の小高赤坂病院が加盟する東電原発事故被災病院協議会は平成23年5月の設立以来、東京電力福島第一原発事故による課題に意見を交わしている。22医療機関・団体で構成する。「経営をどう立て直せばいいのか。住民の医療ニーズに対応できない」。医療機関の経営者らに地域医療を十分に担えない無念さがにじむ。


 経済産業省資源エネルギー庁と東京電力の営業損害賠償支払いを平成28年2月分で終了するとした素案に対し、協議会は「反対」の見解を取りまとめた。

 小高赤坂病院の院長・渡辺瑞也(みずや)さん(72)は今年1月27日、協議会メンバーとして医療分野を所管する厚生労働省を訪れ、塩崎恭久厚労相と面談した。避難指示解除準備区域にある病院は再開の見通しが立たない。営業損害賠償を頼りに職員の社会保険料の支払い、長期債務の返済などを続けてきた。

 「現段階で営業損害賠償が打ち切られれば、地域の民間病院の存続は不可能です」。厳しい状況を切々と訴え、資源エネルギー庁や東電に賠償継続を働き掛けるよう要望した。だが、前向きな返答はもらえなかった。

 避難区域の医療機関が存亡の機に追い込まれているだけではない。避難区域周辺の医療機関でも放射線への不安から医師や看護師が避難し、今も戻っていないケースがある。新たなスタッフの確保は難航し、病床の稼働率を下げざるを得ない病院が出ている。

 一方、光熱費など施設の運転費用の削減は難しい。経営は圧迫される。病院経営者からは「営業損害の賠償で減収分を穴埋めしなければ経営が成り立たない」との声が上がる。


 原発事故から間もなく4年となる。避難した住民が帰還し、地域コミュニティーを再生させるための社会基盤として医療機関は重要な役割を担う。渡辺さんは、多くの病院が経営状況を改善させる糸口を見つけられずにいると指摘する。

 「住民の命と健康を守る使命を果たせていないと思う。復興の足かせにすらなりかねない」。渡辺さんに悔しさが込み上げる。原発事故によって、避難区域とその周辺の地域医療は崩壊の危機に直面していると感じる。「国や東電は早急に救済策を講じるべきだ」

カテゴリー:賠償の底流-東京電力福島第一原発事故

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