東日本大震災

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キリスト教団福島の教会堂再建 半世紀ぶり帰郷再び牧師に

再建された福島教会の教会堂の前に立つ似田牧師。旧教会堂の趣を残すとがった屋根は復興のシンボルとなる

 東日本大震災で被災し取り壊された福島市宮下町の日本キリスト教団福島教会の教会堂が再建された。「国内外からの支援に感謝したい」。同市出身の似田(にただ)兼司牧師(78)は、国登録有形文化財だった旧教会堂の趣を残したとんがり屋根を見上げた。牧師を引退していたが、震災後、半世紀ぶりに帰郷し同教会の牧師として再建に奔走した。3月21日、復興の象徴として落成を迎える。
 建設から1世紀を超えたかつての教会堂は、震災によって塔が大破するなど損壊した。安全性を考慮し解体せざるを得なかった。
 似田牧師は教会近くの市内天神町で生まれ育った。幼いころから旧教会堂に慣れ親しんだ。市内の高校を卒業後に上京した。兵庫県、大阪府などで牧師を務め、帰郷する機会は少なかった。
 震災時は既に牧師を引退し、大阪府で暮らしていた。「古里が心配で仕方なかった」。知人や親戚に電話し、安否を確認する日々が続いた。
 旧教会堂の解体後も隣接する伝道館で礼拝やミサは続いた。しかし、震災当時の福島教会の牧師は体調を崩し、福島を離れることになった。教団本部(東京)から「福島で牧師をしてもらえないか」と誘いを受けた。当時74歳だったが、決断に時間はかからなかった。「古里が困っている。力になりたい」
 23年12月1日、牧師に就いた。姿を消した教会堂を思うと、寂しさが込み上げた。教会堂再建に向け、国内外から励ましの声や浄財が寄せられ始めた。支援の輪が次第に広がり、25年に再建が決まった。浄財に加え、教団本部の援助金を充てた。
 旧教会堂の設計者が興した会社が図面を引いた。「旧教会堂の趣を残したい」という似田牧師の思いをくみ取り、昨年6月に着工した。震災復興に伴う資材不足や作業員不足に悩まされたが、昨年12月に完成した。似田牧師は「感謝の気持ちを忘れず、希望を与え続ける教会にしていきたい」と誓う。
 教会堂は3月21日に献堂式(落成式)を行い、新たな歴史が刻まれる。震災から4年余りを経て復活するとんがり屋根は本県復興の象徴になる。

■旧教会堂は13年国有形文化財に
 旧教会堂は米国人(のちに日本国籍取得)の建築家ウィリアム・メレル・ボーリズが設計し、明治42年に完成した。とがった屋根の塔など、当時の地方都市では珍しい西洋建築が評価され、平成13年に国登録有形文化財となった。

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