東日本大震災

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スイスの時計コンテスト 林精器製造(須賀川)部門賞 グランドセイコー限定モデル 岩手の会社と共同受賞 研磨技術 世界が評価

 東日本大震災で被災した本県と岩手県の会社の職人たちが、研磨や組み立てを担当したセイコーウオッチの高級機械式腕時計が2014年秋、スイスで開かれた世界的な時計コンテストの部門賞を受賞した。

 受賞したのは「グランドセイコー メカニカルハイビート36000GMT」限定モデル。時計業界最大のイベント「2014年度ジュネーブ時計グランプリ」の8000スイスフラン(約100万円)以下の腕時計を対象とした部門で、スイスの高級ブランドなどを抑えて選ばれた。
 受賞モデルは外装を多面体にカットし、一部を鏡面仕上げにした。「美しい外観を実現するには、精巧な研磨技術が不可欠」とデザインしたセイコーインスツルメント総合デザイン部の小杉修弘さん(62)。小杉さんは「現代の名工」に初めて選ばれた時計デザイナーだ。
 研磨したのは須賀川市の林精器製造で働く関根一憲さん(60)。震災で3階建ての工場兼事務所が倒壊したが1カ月で再開にこぎ着けた。関根さんは「研磨機や研磨材の開発から始め、ゆがみなく仕上げた。社員全員の努力が報われた」と受賞を喜ぶ。
 受賞モデルは毎秒10回という高速振動で安定した精度を実現し、24時間で1周する針も付く。半永久的に正確な時を刻むには、精密な組み立て技術が欠かせない。
 組み立てた盛岡セイコー工業(岩手県雫石町)も震災で、高級時計を手作業で組み立てる専門工房の工具などが散乱した。燃料不足や停電のため、従業員は自転車や徒歩で出勤し、暖房もない中で復旧作業を進めた。
 同社のトップレベルの組み立て・調整師の伊藤勉さん(42)は「触っただけで傷ついたり、色が変わったりする繊細な部品もあり、取り扱いにとても苦労した。受賞でき光栄です」とコメントした。

※ジュネーブ時計グランプリ
 2001年に創設され、ジャーナリスト、時計師、コレクターなど各国の時計の専門家で構成する審査員チームが、世界の時計メーカーが出品した時計を審査し、表彰する時計業界最大のイベント。男性用、女性用、スポーツ時計、8000スイスフラン(約100万円)以下の腕時計などの部門賞と、大賞を選ぶ。

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