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福島をつくる(26) 第2部 スポーツの力 福島ユナイテッドFC(サッカー)

湘南サポーターに本県産野菜を販売する鈴木=1月31日、神奈川県平塚市

<「つながり」が底力に>
 春菊、ネギ、リーフレタス...。青々とした新鮮な食材が特設テントに並んだ。「福島のおいしい野菜はいかがですか」
 サッカーJ3の福島ユナイテッドFC(福島U)を運営するAC福島ユナイテッド社長の鈴木勇人(42)は1月31日、神奈川県平塚市で催したJ1湘南との交流事業で選手と共に来場者に売り込んだ。「おいしそう」。湘南サポーターが買い求め、用意した10種類の本県産野菜は瞬く間になくなった。
 福島Uは東京電力福島第一原発事故による風評の払拭(ふっしょく)に向け、県の委託事業で本県の情報を発信する役目を担う。
 昨季は独自に県内産の農作物や加工品をそろえ、4会場で「ふくしマルシェ」として販売した。商品は県内の農家から直接仕入れている。事業開始当初は「サッカーチームが何を始めるのか」と農家が戸惑った。復興支援の趣旨を説明する。次々と協力者の輪が広がった。鈴木は「県産品の魅力発信と、新たな層のファン発掘につながっている」と相乗効果を強調する。

 異業種との連携はクラブ運営に欠かせない。昨季は県内のホーム戦18試合のうち、14試合が協賛社・団体名を試合に付けた「スペシャルマッチ」だった。企業などが協賛金を出す代わりに、試合の前後や途中で事業内容を宣伝する。1試合平均の来場者は1000人を超し、企業の多くは効果があるとみている。
 クラブ側への恩恵も大きい。収入増に加え、選手が講師を務めるサッカー教室を協賛社の費用負担で開催するため、新たなファンの開拓につながる。
 J1の人気チームの場合、試合の冠は協賛社の争奪戦になる。福島Uは昨季、4試合で買い手が付かなかった。鈴木は宣伝効果をさらに周知する必要性を説く。「クラブが目指す地域貢献の理念を広め、協賛企業とクラブが共に利益を得られるのが理想」と語る。

 福島Uの選手は24日からの2次キャンプに向け、福島市内で練習に励む。古里を盛り上げようとJ1神戸から今季加わった茂木弘人(30)=福島市出身、聖光学院高卒=らは、日を追うごとに仲間と連携を深めている。
 「1人でも多くの県民、企業と心をつなぎ、勝利の感動を共有したい」。鈴木はチームスローガン「Link(つながる)」の意味をかみしめる。強く結ばれた絆が、幾つもの壁を乗り越えていく本県の底力になると信じている。(文中敬称略)

カテゴリー:福島をつくる-未来への挑戦

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