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福島をつくる(27) 第2部 スポーツの力 東北フリーブレイズ(アイスホッケー)

リンク上でファンと交流する選手の様子を見守る中村(奥)

<震災の衝撃 胸に前へ>
 郡山市の磐梯熱海アイスアリーナで5日と7、8の両日に行われたアイスホッケーのアジア・リーグ「郡山シリーズ」。東北アイスホッケークラブ社長の中村考昭(42)は熱気に満ちた会場にいた。リーグに所属するクラブチーム・東北フリーブレイズの運営責任者で、チームのメーンスポンサーとなるスポーツ用品販売大手「ゼビオ」の常務執行役員を務める。盛り上がる客席に目を向けた。
 「ゴー、レッツ、フリーブレイズ」。連日、約800人の歓声がゴールを狙う選手を奮い立たせた。
 中村は「アイスホッケーはサッカーや野球ほど知られていないが、ファンやスポンサーなどに大きな伸びしろがある」と見ている。県内ではまだ認知度が低く、全国でも多数の集客は難しいとされる。リーグで活躍し注目を集めれば、来場者や協賛社が増え「マイナー競技」でも立派にチームを維持できる-。中村や選手が常にアジアの頂点を目指す理由はそこにある。

 中村は国際アイスホッケー連盟のデータに目を通す。「スケート用のリンクが屋内、屋外とも100施設以上あるのは、日本を含め世界で5カ国だけだ」。日本は他国と比べ施設の数で優位とし、世界で活躍しやすい環境にあると強調する。
 ブレイズは郡山市と青森県八戸市に本拠地を置く。ゼビオ本社のある郡山市には屋外の郡山スケート場、屋内の磐梯熱海アイスアリーナがある。「屋外、屋内のどちらも備え、競技を発展させる大きな可能性を秘めている」と拠点とする理由を明かす。

 選手は東北に、とりわけ郡山に特別な思いを抱く。東日本大震災が起きた平成23年3月11日は、初優勝が懸かっていたプレーオフ決勝の前日だった。磐梯熱海アイスアリーナで最終調整に励んでいた途中で激しい揺れに襲われた。翌日の試合は中止になり、決勝に残った2チームを優勝とする措置が取られた。くしくも震災で初制覇が決まった。市内は多くの建物が被災し、混乱する県民の姿を目の当たりにした。八戸市も津波で甚大な被害が出た。選手は当時の衝撃を今も胸に刻んでいる。
 間もなく4年となる。郡山シリーズの試合終了後、バレンタインデーにちなんだファンサービスが催された。熱戦の余韻が残る中、選手は急いで着替え、氷上でサインに応じた。主将のFW田中豪(31)は足を運んでくれたファンに誓う。「東北のためにという思いを忘れない」(文中敬称略)

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