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県内 「不認定」に異議46件 本社調査 基準のばらつき背景に

 災害弔慰金支給の対象となる震災(原発事故)関連死で、「不認定」とされた遺族らによる異議申し立てが少なくとも46件に上っている。福島民報社が認定実績のある県内24市町村を対象に調べた。専門家は認定基準が明確でないため遺族の不満につながっていると分析。死因との因果関係の証明は避難長期化などで一層困難になるとみており、申し立てがさらに増える懸念がある。

 21日現在の関連死認定者数と昨年末時点の異議申立件数は【表】の通り。いわき市の19件が最も多く、南相馬市の13件と続く。
 今回、調査した24市町村は不認定件数を公表していないが、昨年2月時点の県の調査で、審査会がある18市町村の不認定件数は計345件。単純比較はできないが、大半が審査会決定を受け入れている一方で、一部に不満が生じている状況がうかがえる。
 不認定となった遺族ら申請者は、審査会の決定に対し異議の申し立てが可能だ。より詳細な診断書や東日本大震災と東京電力福島第一原発事故に伴う避難生活の過酷さを裏付ける追加資料を提出し、再審査を受ける。
 再審査により「認定」に転じたのは、いわき市が19件中3件、南相馬市が13件中1件にとどまる。他の22市町村は再審査結果を明らかにしていない。
 遺族が異議を申し立てる背景には、自殺を関連死として認めるかどうかなど、各市町村や審査会によって判断が分かれている現状への不満があるとみられる。県は昨年、情報の共有化で市町村間の認定格差の是正を促す方針を示したが、現段階で具体的な動きには至っていない。
 関連死訴訟の代理人を務める新開文雄弁護士(63)=福島市=は「避難の長期化で、死因と原発事故との因果関係の証明は、ますます難しくなり、市町村単位の審査では判断にばらつきが出る。国や県が認定判断に関与する仕組みをつくる必要がある」と指摘した。

【解説】全県一律の判断必要
 震災(原発事故)関連死の不認定に異議を申し立てる遺族らにとって、再審査で判断を覆すのは困難な作業となる。
 ある自治体の担当者は「過酷な避難状況などを裏付ける、よほどの資料や新事実が示されなければ決定は覆らない」としている。
 さらに、市町村によって判断にばらつきが生じている現状は不認定となった遺族の審査会などへの疑念につながっている。
 岩手、宮城の両県は県単位で審査に当たっており、統一した判断を下している。本県は、住民に接している自治体が原発事故発生後の避難状況を最も把握している、として市町村が判断する仕組みを採用した経緯がある。
 ただ、原発事故から間もなく丸4年が経過しようとしている。避難住民らの死と原発事故との因果関係の証明が難しくなっている現状を考えれば、全県一律の基準で認定判断するのが妥当ではないか。被災地・被災者支援の観点に立った国、県の対策を避難住民らは求めている。(本社社会部・柳沼郁)

※震災関連死の認定
 震災と原発事故発生後、避難生活などによる体調悪化や過労などに起因して亡くなった事例を医師や弁護士ら有識者で構成する市町村・郡が設置した審査会で審査する。審査会を設けない市町村もある。認定を受ければ災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき、家計を支えていた生計維持者に災害弔慰金500万円、生計維持者以外には250万円がそれぞれ遺族に支払われる。

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