東日本大震災

「福島をつくる-未来への挑戦」アーカイブ

  • Check

福島をつくる(28) 第2部 スポーツの力 東北フリーブレイズ(アイスホッケー)

ブレイズの選手と氷上で滑る感覚を楽しむ子ども

<県民が誇れる存在に>
 「60分間、体を張り、リンクを走り続ける」。若林クリス(42)は平成23年にアイスホッケーのクラブチーム・東北フリーブレイズの監督に就き、ひた向きに戦う姿勢を選手に求めた。粘りが生まれ、勝利につながった。国内で最も歴史の浅い創設6年目のチームがアジア・リーグで2度の優勝をつかんだ。
 今季はロシアの強豪「サハリン」が新たにリーグ入りしたが、ブレイズはプレーオフに進出できる5位以内を確定させた。若林は「勝敗以上に、選手の一生懸命な姿こそファンの望むプレーだ。その考えは今も変わらない」と言い切り、ファンの目線を大切にするよう選手にも説く。

 ブレイズの活躍効果は徐々に表れている。
 県内の中学で唯一、アイスホッケー部がある郡山市の熱海中の生徒はブレイズの試合を観戦し、運営を手伝う。パックと呼ばれる硬いゴム製の円盤を長いスティックでさばく。素早いパス回し、キーパーの動きの逆を突くシュート...。選手の高い技術を目で追い掛け、練習で試す。生徒の中には県外の強豪高に進学し、大学の国内トップクラスで活躍する選手もいる。
 顧問の近藤桂章(47)は「アジア最高峰の試合を県内で間近に見られる。影響を受けた若手選手が少しずつ育っている」とチームの存在を評価する。
 ブレイズを退団した元選手は経験を生かしている。昨年、4人が国体の成年男子本県選抜に加わり、13年ぶりに8強入りを果たした原動力になった。県連盟関係者や指導者の期待は膨らむ。

 県内の競技人口は約200人にとどまっている。他の団体競技に比べまだまだ少ない。
 ブレイズのメーンスポンサーとなっているスポーツ用品販売大手のゼビオは昨年4月に郡山市・磐梯熱海アイスアリーナの指定管理者になった。「福島で競技に触れる環境を整え、機運をさらに高めたい」。同社の常務執行役員で東北アイスホッケークラブ社長の中村考昭(42)は普及への決意を新たにする。ゼビオは今月行われたアジア・リーグ郡山シリーズに合わせて教室を開いた。子どもが選手と氷を蹴って進む感覚を楽しんだ。
 競技者やファンが増え、県民の関心が高まる。中村は「家庭や学校、職場で話題になるような生活に溶け込んだチームになりたい」と願う。アイスホッケーが福島の新たな誇りになる-。中村はアジア制覇の先にあるゴールを見据えている。(文中敬称略)

カテゴリー:福島をつくる-未来への挑戦

「福島をつくる-未来への挑戦」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧