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復興へ続く道(1) 未来を担う大動脈 渋滞解消し再生加速 【2本の軸】

3月1日に全線開通が迫った常磐道。復旧・復興が加速すると期待される=上り線常磐富岡IC付近、17日撮影

 常磐自動車道は3月1日、常磐富岡―浪江インターチェンジ(IC)間が開通し、埼玉県と宮城県をつなぐ総延長300.4キロの全線が結ばれる。本県を縦断する2本目の高速道路の貫通により、東日本の物流や人的交流が活発になり、浜通りの復旧・復興が加速すると期待される。全線開通が県内にもたらす「効果」を探る。

 真新しいアスファルトに純白のラインが延びる。東日本高速道路の関係者は22日、1週間後に開通を控えた常磐道常磐富岡―浪江IC間をパトロールし、路面の状況を入念に確認した。
 常磐道の全線開通により、東北地方と首都圏を結ぶ高速道路の「ダブルネットワーク」が完成する。
 埼玉県内の東北自動車道の起点から仙台までは約330キロ。同県内の常磐道の起点からは約320キロでほぼ等距離といえる。ただ、冬場はまるで環境が異なる。年平均降雪量は東北道の通る福島市が129センチであるのに対し、常磐道が走るいわき市小名浜は2センチ。県内の東北道では今冬、雪による通行止めが3日あったが、常磐道は1日だけだ。
 遠距離を結ぶ輸送業者などは天候によって東北道と常磐道を使い分けることができ、利便性が高まる。一方の自動車道が災害や規模の大きな交通事故で通行止めとなった場合、もう一方は代替ルートとなり、人と物の流れが滞る事態を回避できる。
 常磐道の全線開通によって、いわき―仙台間は約2時間で結ばれる。常磐富岡―浪江IC間の迂回(うかい)路として6号国道を走行し、常磐道に再び乗り入れた場合と比べて約20分短縮される。6号国道だけを通るルートと比べ2時間余り縮まる。

 「常磐道の貫通で、6号国道の渋滞が大幅に緩和される。被災地の復旧・復興に弾みがつく」。国土交通省磐城国道事務所の坂井康一所長(42)は全線開通の意義を強調する。
 双葉郡の帰還困難区域の6号国道では、平日の通過車両が上下線合わせて1万台を超えている。復旧関係車両を中心に朝夕は激しく混雑する。工事を円滑に進めるため、関係者から常磐道の早期全線開通を求める声が出ていた。
 一方、復旧工事では、作業員不足が深刻化している。いわき、南相馬両市などで宿舎が慢性的に足りない状況が続いていることも、人手を十分確保できない要因になっているという。常磐道の全線がつながれば通勤圏は宮城県南部や茨城県北部周辺にまで広がり、作業員を集めやすくなるとの見方も出ている。

 東京電力福島第一、福島第二両原発での不測の事態を想定した際、常磐道は住民の貴重な避難ルートとなる。
 東日本大震災と原発事故が発生した直後、双葉郡内を中心とした国県道では避難する車両により大渋滞が起きた。浪江町は現在、一時帰宅した町民らが緊急に町内を離れる場合を念頭に置いた避難計画を策定中だが、担当者は「一般道だけを使えば3・11の二の舞いになる。遠方までつながる常磐道の存在は大きい」と話す。
 浪江町や大熊町の復興計画策定に携わっている福島大の丹波史紀准教授(41)は「(帰還後に災害が起き)避難する際のことを不安に感じる住民もいる。常磐道の全線開通により、複数のルートが確保されるのは一歩前進だ」と指摘する。

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