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復興へ続く道(2) 患者搬送を迅速に 住民帰還へ体制が充実 【医療】

楢葉町に置かれている双葉地方広域消防本部の仮庁舎(左奥)。3月からは救急搬送の環境が改善する

 楢葉町山田岡に仮庁舎を置く双葉地方広域消防本部。東京電力福島第一原発事故の避難区域に一時帰宅した際、けがをしたり、急病を発症したりした住民らの救急搬送に当たっている。復旧業務の作業員を運ぶこともある。救急車の出動は年間約430件に上る。
 渡辺敏行総務課長(55)は「常磐自動車道の全線開通を待っていた。救急医療の環境が充実する」と強調する。

 原発事故後、双葉地方広域消防本部は、大熊、双葉、浪江、葛尾の双葉郡北部の4町村で重篤な患者が発生した場合、ドクターヘリなどで福島市の福島医大付属病院か郡山市の太田西ノ内病院のいずれかの三次救急医療施設に運んできた。
 昨年9月からは通行規制が解除された6号国道と常磐道を経由し、いわき市の三次施設である総合磐城共立病院に延べ11人を搬送した。これまでは常磐富岡インターチェンジ(IC)を利用していたが、3月1日からは浪江ICで高速に乗ることができるため運ぶ時間は約10分短くなる。一刻を争う救急医療では貴重な時間短縮だ。
 高速道路は一般道に比べ段差による振動が少ない。血圧の変動を抑え、患者をより安静な状態で運ぶことができるという。
 双葉郡内の6号国道は復旧関係の車両が行き交い、朝夕を中心に激しい渋滞が発生している。救急車が常磐道を利用すれば、負傷者・急病人の待つ現場や医療機関までの到着が遅れる心配も減る。

 原発事故で全町避難の続く浪江町は、医療環境の改善が住民帰還を後押しする大きな一歩になると期待している。
 町は町役場本庁舎に応急仮設診療所を設けている。一時帰宅や復旧作業などで町内には一日2500~3000台の車両が出入りしており、こうした人たちのけがや急病に備えるためだ。平成25年5月に開設し、延べ約200人が利用した。ただ、医師一人が対応しており、手術のできる医療設備を備えていない。
 紺野則夫町健康保険課長(60)は「町内に戻った町民が急病となった場合、常磐道は命の道になる」と言葉に力を込める。
 双葉郡の町村の避難指示が解除され、住民の帰還が始まった場合でも、既存の医療機関が診療を再開するかは不透明だ。地域の将来像を模索している浪江青年会議所の高木徳行理事長(36)=双葉町、伸道商事運輸社長=は「双葉郡内から医療機関につながる道路網を、さらに良くしてほしい」と訴えている。

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