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福島をつくる(29) 第2部 スポーツの力 東邦銀行陸上部(陸上競技)

東邦銀行陸上部の選手と楽しみながら体を動かす児童

<震災直後 決意の創部>
 福島市の東邦銀行本店での仕事が終わり、車で約20分の福島大グラウンドへ向かう。制服からトレーニングウェアに着替え、世界で戦う競技者の顔つきに変わる。
 東日本大震災の発生から3週間後の平成23年4月1日、東邦銀行陸上部は産声を上げた。当時、県内地銀の筆頭として被災者支援をはじめとした震災対応業務が山積していた。創設が危ぶまれたが、頭取の北村清士(67)は創部の決意をさらに固くした。
 〈震災と東京電力福島第一原発事故の被害を受けた県民の希望になろう〉

 現在の部員は男女8人で、全員が本県出身か福島大の卒業生だ。このうち4人が日本代表として世界選手権に出場した経験を持つ。北京五輪代表でもある千葉麻美(29)=矢吹町出身、郡山東高卒=は子育てをしながら仕事、競技を両立させている。窓口で市民の応対を担う選手もいる。
 選手は県民との触れ合いを大事にする。日本アスリート会議(本部・東京)が福島駅前通りで催す「ももりんダッシュNo.1」、福島大トラッククラブの「4時間耐久リレー」に市民らに交じって参加している。昨年11月に初めて開いた「とうほう・みんなの陸上教室」では、選手自ら教える内容を考えた。世界を目指す選手は身近にいる。夢や目標を持つきっかけになってほしいとの願いを込める。
 7年にふくしま国体が県内で開かれた。小学生だった千葉は短距離のエースだった二瓶秀子(44)=福島大陸上部コーチ、旧姓雉子波=らに憧れ、本格的に陸上を志した。情熱は選手から選手へ受け継がれていく。

 女子400メートル障害の日本記録保持者だった吉田真希子(38)は現役を退き、昨年12月に同行陸上部コーチに就いた。18日は喜多方市の小学校で陸上教室の講師を務めた。児童が難しい課題をこなした時に見せた笑顔が強く印象に残る。目標達成に向け「自分もできるかも」と思わせる教え方が大事だと感じた。
 後輩への指導は始まったばかり。技術や教訓をどう伝えるか。子どもの指導から得た知識も生かしたい。まずは練習中の動きや表情の観察から始めている。
 陸上部は「福島のチーム」として結果にこだわる。「良い成績を挙げ、福島の名を国内外に発信する」。昨年6月に日本選手権が県内で初めて福島市のとうほう・みんなのスタジアム(あづま陸上競技場)で開かれた。選手の思いは最高潮に達した。(文中敬称略)

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