東日本大震災

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中間貯蔵施設県が搬入容認を表明

内堀知事(右から2人目)との中間貯蔵施設に関する会談に臨む(左から)大熊町の千葉町議会議長、渡辺町長、双葉町の伊沢町長、佐々木町議会議長

 東京電力福島第一原発事故に伴う県内の除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設をめぐり、内堀雅雄知事は24日、施設への廃棄物搬入の受け入れを表明した。同日、福島市で建設予定地がある大熊町の渡辺利綱町長、双葉町の伊沢史朗町長らに廃棄物の搬入を容認する考えを示し、了承を得た。内堀知事は25日に県庁で望月義夫環境相、竹下亘復興相と会談し、搬入受け入れを伝える。

 内堀知事は大熊、双葉両町長らに続き、双葉郡8町村長らと2回に分けて会談した。冒頭以外は非公開で、終了後に内堀知事は、それぞれの会談で廃棄物搬入を認める方針を説明したことを明かし、「(出席者に)私の考えを容認していただいた。明日(25日)は国に対して協議内容を伝えたい」と述べた。
 伝達に当たっては、政府に(1)地権者への丁寧な説明(2)県外最終処分に向けた万全な措置(3)輸送の安全性確保-の3点をあらためて要請するとした。
 内堀知事は、両町長から安全確保協定の内容に関して一部修正の要請があったことも明らかにした。地元住民が施設の監視を行うために設置する「環境安全委員会」の委員から環境省職員を外し、地元住民の割合を増やすよう求める内容。同省は25日の会談で修正に応じ、県、両町と協定を締結する予定。
 渡辺町長は「苦渋の決断だが、総合的に判断し(受け入れは)やむを得ないとの考えに至った」と話した。伊沢町長は「条件のうち4項目は理解を得られる中身となった。協定も申し入れた内容に変われば(搬入受け入れを)判断したい」とした。
 搬入開始の時期についても25日の会談で協議する予定。内堀知事は「建設予定地の大熊、双葉両町にはそれぞれの思いがある」として、政府が目指す3月11日までの日程にはこだわらない姿勢を見せた。
 会談には大熊町議会の千葉幸生議長、双葉町議会の佐々木清一議長ら各町村の議長が同席した。
 県は昨年9月、政府に対し施設の建設受け入れを伝達した際に「建設と搬入受け入れは別」として(1)30年以内の県外最終処分法制化(2)中間貯蔵施設に係る交付金の予算化、自由度(3)国による搬入ルートの維持管理と周辺対策の明確化(4)施設と輸送の安全性(5)県、大熊、双葉両町との安全確保協定の締結-の5項目の条件を提示。政府は今月8日、条件に対する回答を県に対し示していた。

■輸送の安全性未知数
【解説】
 県と大熊、双葉両町の廃棄物搬入受け入れにより、中間貯蔵施設はようやく稼働する条件が整った。しかし、施設完成の見通しは立たず、前例のない規模となる廃棄物輸送の安全対策の実効性は未知数で手探り状態が続く。県民の不安をどう払拭(ふっしょく)できるかが課題となる。
 環境省は施設建設に要する期間を少なくとも2~3年としているが、完成時期を明確に示していない。用地確保の交渉が難航し、約2300人の地権者のうち、連絡が取れたのは約半数にとどまる。最大2800万立方メートルとされる廃棄物搬入の受け皿として十分な規模を確保できる裏付けは今のところ見当たらない。現在は両町に試験輸送で搬入した廃棄物を仮置きする「一時保管場」の整備を進めている。
 輸送が本格化すると、一日に最大1500台以上のトラックが走行する区間が出るとの試算結果がある。渋滞の発生や、事故による放射性物質の飛散などが懸念される。同省は安全対策として、輸送車両の運行管理を一元的に管理する「輸送統括管理者システム」の運用などを打ち出しているが、予定通りに機能するかは不透明だ。
 内堀雅雄知事は24日の会談後の記者会見で「安全性や道路の問題は影響を検証しながら進めることになる」と語った。県民の生活に直接の影響が出る輸送作業が実際に始まるのはこれからだ。「想定外」の事故は許されず、国や県、警察など関係機関には極めて慎重な対応が求められる。(本社報道部・丹治 隆)

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